眼科がある総合病院などでは、手術室で白内障の手術を行うことがあります。
眼科のオペは術野が小さく、器械も繊細なものが多いので取り扱いに注意する必要があります。
器械出しは器械を手渡すだけでなく、適宜水をかけて視野の確保を行うなどの助手の役割も求められます。
コンテンツ
白内障のIOLは眼内レンズのこと
白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き眼内レンズを挿入する方法が一般的です。
IOLとはIntraocular lensの略であり、手術で使用する眼内レンズのことを指します。
使用される眼内レンズは、患者さんの目の状態に合わせたものを使用するため、レンズ確認は必ずダブルチェックで行います。
手術は局所麻酔で行われる
白内障の手術は、平均20分ほどで終了することが多いため、局所麻酔で行われます。
麻酔方法は点眼麻酔、テノン嚢下麻酔で実施され、認知症などにより安静が守れない場合は全身麻酔で実施することもあります。
白内障手術の流れ
白内障の手術の主な流れは以下の通りになります。
- 消毒、ドレープ、開瞼器をかける
- 点眼麻酔、テノン嚢下麻酔実施
- 強角膜切開、サイドポートを開ける
- 粘弾性物質を前房内に注入する
- 連続円形切嚢する
- ハイドロダイセクション
- 水晶体核を分割して粉砕吸引する
- 皮質を除去
- 粘弾性物質を注入し、眼内レンズ(IOL)を挿入する
- 粘弾性物質を除去して、ビーエスエスプラスを注入して創閉鎖
これらが手術の流れになりますが、術式と器械だしの手順を見ていきましょう。
消毒、ドレープ、開瞼器をかける
患者さんの確認と使用するレンズの確認が終わったら、手術する側の眼の消毒を行います。
消毒が終わったらドレープをかけ、眼の部分をハサミで開き、開瞼器をかけます。
- 消毒
- ドレープ
- 開瞼器
- 眼科用剪刀
点眼麻酔、テノン嚢下麻酔実施
点眼麻酔を先に行い、スプリングハンドル式剪刀で結膜切開を行い、テノン嚢下麻酔を行います。
ドクターによってはテノン嚢下麻酔を行わないこともあります。
器械出しは、テノン嚢下麻酔で使用した麻酔量を外回りに報告します。
- 点眼麻酔
- テノン嚢下麻酔
- スプリング剪刀
- 鑷子
強角膜切開、サイドポートを開ける
スリットナイフを使用し、強角膜切開を行います。
強角膜切開を行うときは、角膜にビーエスエスプラスをかけて視野を確保します。
- スリットナイフ
- MQA
粘弾性物質を前房内に注入する
粘弾性物質を創口または、サイドポートから前房内に注入します。
前房内に注入された粘弾性物質が確認できるよう、注入する前にビーエスエスプラスを角膜にかけ、視野を確保しておきます。
- 粘弾性物質
連続円形切嚢する
CCCセッシで前嚢片を把持して、円形に切り取ります。
ドクターによっては、27Gの短針を加工して行うこともあります。
前房内の操作ができるよう角膜に、ビーエスエスプラスをかけて視野を確保します。
- CCCセッシor27G短針
ハイドロダイセクション
ビーエスエスプラスの水流により、水晶体嚢と周囲を分離するため、鈍針を水晶体嚢に当ててビーエスエスプラスを注入します。
- 鈍針がついたビーエスエスプラス
水晶体核を分割して粉砕吸引する
USチップとフックを用いて、核を2分化するための核処理を行います。
ドクターによってはチョッパーと呼ばれるフックを使用することもあります。
核分割が終わったら、粉砕吸引を行いますが、後嚢破損が生じやすいため注意が必要です。
また、ビーエスエスプラスのバッグ残量が十分残っているかも確認が必要です。
- USチップ
- フック
皮質を除去
I/Aチップを使用し、残っている皮質を吸引除去を行います。
眼内レンズ挿入の準備として、ビーエスエスプラスを角膜にかけておくことが大切です。
この時点でレンズを出す指示があるので、ダブルチェック後、レンズを外回り看護師から慎重に受け取ります。
- I/Aチップ
- レンズ
粘弾性物質を注入し、眼内レンズ(IOL)を挿入する
粘弾性物質を前房内に注入し、IOLをインジェクターにセットします。
IOLを水晶体内へ挿入し、レンズの角度を調整します。
- 粘弾性物質
- IOL
粘弾性物質を除去して、ビーエスエスプラスを注入して創閉鎖
IOL挿入後、前房内の粘弾性物質を吸引除去し、ビーエスエスプラスをサイドポートから挿入し、眼圧を高めます。
眼圧を高めることにより切開層が自己閉創します。
MQAで切開創の出血を拭き取り終了となります。
白内障(IOL)のポイント
白内障の手術では、角膜にビーエスエスプラスをかけることも器械出しの役割になります。
角膜が乾燥してしまうと、術野が見えなくなってしまうため、タイミングを考えて介助することが必要になります。
また、術中に後嚢破損などの合併症が起こることもあり、合併症が起こった場合は硝子体カッターを使用することもあるので、すぐに準備できるようにしておくことが必要です。
眼科の手術介助をスムーズに行うために
眼科の手術では、ドクターによって使用する器械が異なることも多いので、しっかり把握しておくことが大切です。
また、角膜へのビーエスエスプラスや還流液の残量を把握しておくことも、術中をスムーズに進めるためのポイントになります。
術中に合併症が起こることもあるので、患者さんに不安を与えないよう準備を整えることも必要になります。
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眼科の手術は術野が小さいため、手術操作や内容が分からないこともあります。
眼科で行われる手術には白内障以外にも様々な術式があるため、手術に付くときは理解しておくことが必要になります。
この参考書では、眼科の術式や看護のポイントがまとめられているので分かりやすいです。
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