人工膝関節置換術(TKA)で使用される器械と術式の流れ

人工膝関節置換術(TKA)は整形外科の手術の中でも、手術件数が多くメジャーな手術の一つです。

人工関節の手術では扱う器械の数が増えるため、苦手意識を持っている人もいるのではないでしょうか?

人工膝関節置換術(TKA)の手術は、使用する器械も手術の流れも同じことが多いので覚えるとつきやすい手術です。

今回は、人工膝関節置換術(TKA)で使用される器械と術式の流れについてお伝えします。

人工膝関節置換術(TKA)とは?

人工膝関節置換術(TKA)とは、膝の関節を人工関節に入れ替える手術のことです。

膝は大腿骨と脛骨の末端部分に存在する関節により、屈曲や伸展などの関節運動を行なっていますが、加齢やケガなどが原因で軟骨にヒビが入ることで関節運動に問題が生じます。

高齢者などが膝が痛いと訴えることがありますが、これは加齢などが原因で膝の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合ってしまうため痛みが生じてしまいます。

この痛みを解消するために、すり減ってしまった軟骨部分を人工関節に置き換えるのが、人工膝関節置換術(TKA)です。

人工膝関節置換術(TKA)が適応される疾患

適応される疾患としては、以下3点が挙げられます。

  • 変形性膝関節症
  • 関節リウマチ
  • 膝の怪我

これらが人工膝関節置換術(TKA)の適応となる疾患ですが、変形性膝関節症が原因で手術療法を行う高齢者が多いです。

人工膝関節置換術(TKA)切除部位

人工膝関節置換術(TKA)では、大腿骨と脛骨、膝蓋骨を手術で触りますが、TKAの大まかのイメージは上記の図の通りです。

大腿骨を切除して、脛骨を平らに切除した部分にプレートを固定、そして膝蓋骨を形成することで膝の関節運動を可能にするというものです。

人工膝関節置換術(TKA)で使用される器械

人工膝関節置換術(TKA)で使用される器械は、メーカーによって差はありますが、だいたい同じようなものが多いです。

TKAはトライアルの種類も多いので、器械が多く感じてしまいますが、実際に使用するメインの器械はそれほど多くありません

主な器械は以下のようなものが挙げられます。

  • 脛骨骨きりガイド
  • アライメントロッド
  • カニ爪とソーキャプキャー
  • 大腿骨骨きりガイドとポジショナー
  • 大腿骨遠位端骨きりガイド
  • 抜去器
  • 固定ピンと抜去器
  • スペーサー
  • 大腿骨・脛骨テンプレート
  • 大腿骨最終骨きりガイド
  • トライアルコンポーネント
  • 脛骨用パンチ
  • 打ち込み器
  • レトラクター

大腿骨で使用する器械と脛骨で使用する機械と順番をしっかり覚えておくことが大切になります。

また、器械によっては術中に組み立てが必要なものもあるので、手術前に操作方法を確認しておくことが必要です。

手術体位と固定のポイント

人工膝関節置換術(TKA)の体位は仰臥位で行われます。

術野が足になるので、仰臥位で両手開きで固定されることが多いです。

人工膝関節置換術(TKA)の流れ

人工膝関節置換術(TKA)の手術の大まかな流れは以下の通りです。

それぞれ順番に見ていきましょう。

皮膚消毒

大腿部から足先まで消毒を行い、スキットネットで脚を覆います。

皮膚切開・膝関節を展開

皮膚切開は膝に正中に切開を行い、膝関節を展開していきます。

滑膜の増殖が見られる場合は、切除を行い、骨棘も除去していきます。

展開の時には、筋鉤やゲルピー開創器などが必要になるので準備しておきます。

また、止血の時には電気メス、コッヘル、止血用鑷子などもすぐ渡せるようにしておきましょう。

腓骨近位の骨切

膝を立ててガイドを平行になるように設置し、脛骨近位の骨切りを行います。

ガイドの組み立てが必要になるので、術前に組み立て方法に慣れておきましょう。

大腿骨前後面の骨切

膝を屈曲した状態でテンプレートを当ててサイズを図ります。

サイズを測ったらピンで仮固定を行い髄内ドリルでドリリングを行い、髄内アライメントロッドを挿入します。

前面骨きりガイドやガイド固定用のピンなどが必要になるので、すぐに渡せるように準備しておきます。

ピンは小さく落としやすいので、注意しながら渡すことが必要です。

骨切りガイドが設定できたら大腿骨の前面と後面を骨切りします。

大腿骨遠位の骨切

大腿骨遠位端に骨切りガイドを設定し、アライメントロッドの先端が大腿骨頭中心にあることを確認して、遠位端の骨切りを行います。

スペーサーでギャップの確認

スペーサーを大腿骨と脛骨の間に挿入して、屈曲や進展のチェックを行います。

ここで追加の骨切りが必要な場合は、骨切りガイドを渡し、ピン抜去器も準備しておきます。

大腿骨の最終骨切

フィニッシングガイドを使って大腿骨の最終骨切りを行います。

ガイドの固定ピンやハンマーなどが必要になるので、すぐに手渡せるように準備しておきます。

脛骨の最終調整と膝蓋骨形成

脛骨用のテンプレートを固定し、ステムホールを作成します。

膝蓋骨付近の滑膜を切除し、正常な形に整えます。

ドクターによっては膝蓋骨を置換することもあるので、術前に確認して器械の準備が必要になります。

トライアル

脛骨のトライアルとベアリンクインサートを挿入して、膝を90℃の屈曲位の状態で大腿骨側のトライアルを挿入します。

膝を動かし安定性や可動性を確認して、インサートの厚みをチェックします。

トライアルの状況によっては術前の計画よりも大きいものが必要になったりするので、各サイズのものを準備しておくことが大切です。

実際に術前ではサイズ3の計画でしたが、サイズ4を挿入した症例もありました。

本物のインプラントの挿入

トライアルに問題がなければ、トライアルを抜去し、洗浄を行った後にコンポーネントを挿入します。

脛骨に骨の欠損があれば骨移植を行うこともあります。

ドクターにもよりますが、コンポーネントを挿入する際に、骨セメントを使用することもあります。

インプラントを落とさないよう注意してドクターに手渡します。

ドレーン留置、閉創

インプラントの挿入が終わったら、ドレーンを留置して閉創に移ります。

閉創用の針と糸を準備してスキンステープラーも準備しておきます。

病院にもよりますが、閉創後はテガダームなどのドレッシング材で保護をして終了になります。

人工膝関節置換術(TKA)のポイント

人工膝関節置換術(TKA)の手術は使用する器械も多く敬遠されがちですが、器械も手術の流れも決まっているので、慣れやすい手術でもあります。

骨切りガイドなどは組み立てが必要になるので、術前に器械の組み立てや取り扱いに慣れておくことが必要になります。

また、仮固定用のピンなどは小さいため、手術操作で手が滑りやすく落としてしまいがちなので注意しましょう。

人工膝関節置換術(TKA)に慣れるために

整形外科の手術の中でも人工膝関節置換術(TKA)は手術件数も多く、メジャーな手術の一つです。

新人ナースにとっては扱う器械も増え、慣れるまでは複雑に感じることも多いですが、手術の流れをしっかり覚えることが大切になります。

ガイドの組み立てなども必要になるので、術前に組み立て方法などをしっかり身につけて手術に望むことが必要です。

人工膝関節置換術(TKA)の手術は流れも変わらないので、慣れると楽しい手術になります。

人工膝関節置換術(TKA)の勉強にオススメ

整形外科の手術は、一般外科とは違い、扱う器械も特殊になるので難しいと感じている人もいると思います。

器械の多さに圧倒されてしまう新人ナースも多いですが、手術の流れはマニュアル通りに進むので慣れると楽しい手術が多いです。

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