腹腔鏡下卵巣腫瘍手術(ラパ卵巣)の術式と手術の流れ

腹腔鏡下卵巣腫瘍術は、卵巣腫瘍や嚢腫を腹腔鏡を使って行う手術のことです。

卵巣嚢腫だけでなく子宮外妊娠、卵巣嚢腫茎捻転などにも適応されます。

術中はモニターを見ながら手術の進行を把握し、適切な器械やサポートを行うことがポイントになります。

今回は、腹腔鏡下卵巣腫瘍手術(ラパ卵巣)の術式と手術の流れについてお伝えします。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術とは?

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術とは、腹腔鏡を利用して卵巣腫瘍の摘出などを行う手術のことです。

全てを腹腔内で行う体内法や小切開を行う単孔式などの方法もあります。

切開創が小さく手術侵襲が低く、術後の回復が早いこともメリットですが、サイズの大きい腫瘍や癒着が激しい症例に関しては開腹手術が選択されることがあります。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の適応疾患

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術が適応される疾患は、次のものがあります。

  • 卵巣嚢腫
  • 卵管水腫
  • 付属器嚢胞・腫瘍
  • 子宮外妊娠
  • 卵巣嚢腫茎捻転
  • 卵管卵巣腫瘍

卵巣嚢腫などは予定手術で行われることが多く、子宮外妊娠や卵巣嚢腫茎捻転、卵管卵巣腫瘍は緊急手術で行われるケースが多いです。

私が働いていた手術室では、チョコレート嚢胞などの症例の手術なども多かったです。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の麻酔と術中体位

ここでは、腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の麻酔と術中体位について見ていきましょう。

麻酔方法は全身麻酔

麻酔方法は全身麻酔が基本であり、施設によって硬膜外麻酔を併用することもあります。

妊娠中の手術などの場合は、腰椎麻酔で行われることもあります。

私が経験した症例では、妊娠中に卵巣腫瘍が見つかった妊婦さんは腰椎麻酔で手術を行いました。

術中体位は砕石位

術中体位は、レビデータを使用して砕石位で実施します。

股部分はマニュピレーターでの操作を行うため、操作がしやすいようにイスを準備するようドクターから指示される事もあります。

術中は術野を確保するため左右にローテーションを行うため、セッティング時に体位固定の確認が必要です。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の流れ

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の手術の大まかな流れは、下記のようになっています。

  • 全身麻酔+硬膜外麻酔
  • 砕石位に体位固定&膀胱留置カテーテル挿入
  • ポート作成&トロッカー留置
  • マニュピレーター挿入
  • 腹腔内の視野展開
  • 腫瘍切除or内容物吸引
  • 小切開により体外搬出
  • 止血確認
  • 閉創

それぞれの流れを細かく見ていきましょう。

全身麻酔+硬膜外麻酔

施設によっては硬膜外麻酔を併用することもあります。

妊娠中や腹腔内の観察を行うだけの場合は、腰椎麻酔のみで対応することもあります。

砕石位に体位固定&膀胱留置カテーテル挿入

レビデーターを使用して、砕石位に固定します。

膀胱留置カテーテルを挿入しますが、カテーテルが術野の邪魔ならないように頭側に回してセッティングします。

ドクターによっては股の間からマニュピレーターの操作をするため、イスが必要になることもあります。

ポート作成&トロッカー留置

臍部に12mmのカメラポートを作成し、下腹部に5mmのポート2〜3個作成します。

カメラポートで腹腔内を確認しながらポートを作成し、気腹を開始します。

使用する器械

メス・トロッカー、鉗子

マニュピレーター挿入

マニュピレーターを膣から挿入し、術野を確保できる角度に操作します。

ドクターによって、器械だしにマニュピレーターの操作を任せることもあります。

マニュピレーターは手術操作部位とは逆の方向に子宮を傾るように操作します。

使用する器械

マニュピレーター・固定用水

腹腔内の視野展開

鉗子を使って卵巣周辺組織の剥離や視野を展開します。

使用する器械

鉗子

腫瘍切除or内容物吸引

内容物の吸引を行う場合は、ニードルを卵巣に刺してチューブを通してシリンジで吸引を行います。

吸引した内容物の重量を測定し、両方の卵巣の吸引を行った場合は左右差が分かるようにしておきます。

シリンジでの吸引は器械出しが担当することがあるため、吸引開始時は声をかけて実施するようにしましょう。

使用する器械

ニードル・シリンジ・鉗子

小切開により体外搬出

腫瘍切除を行う場合は、カメラポートの切開部分に小切開を加えラップディスクを装着し、体外に摘出して操作を行います。

腫瘍の切除、縫合が終わったら、腹腔内に戻して止血確認を行います。

使用する器械

メッチェン・ラップディスク・ペアン・持針器・針

止血確認・洗浄

もう一度カメラポートを挿入し、気腹を開始して腹腔内の観察を行います。

洗浄を行い出血の有無を確認します。

使用する器械

鉗子・トロッカー

閉創

トロッカーを抜去して腹膜、皮下を閉創します。

使用する器械

持針器・針・クーパー・有鈎セッシ、筋鈎

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の注意点

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術では尿管損傷のリスクが高いため、モニターを観察しながら手術の進行を把握することがポイントです。

また、出血も起こりやすい合併症の一つであり、止血が困難な場合は開腹手術への術式変更もあるため、トラブルに対応できるよう準備が必要になります。

腹腔内の癒着が激しい場合も開腹手術へと移行する可能性が高くなります。

開腹手術へと術式変更になった時はバタバタとしてしまいますが、慌てずに冷静に行動することが大切です。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術を理解するために

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術は婦人科の手術の中でもスタンダードな術式になります。

手術の流れも決まっており難易度も低いことから、新人看護師が担当する機会も多いです。

術中の流れを常に把握するために、モニター内での操作をしっかり理解することが大切です。

術中トラブルにも対応できるように先を読んで準備しておくことが求められます。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術の勉強にオススメ

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術はモニターでの操作になるため、術中の内容が理解できないと感じる人もいます。

手術の目的や必要な器械、術中の流れをしっかり把握しておくことでスムーズに対応できます。

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