膵頭十二指腸切除術(PD)の術式と手術の流れ

膵頭十二指腸切除術(PD)は手術時間も長く、消化管の開腹手術の中でも難易度が高い手術の一つです。

新人ナースの中には手術操作が理解できず、手術の流れについていけないと感じる人もいます。

術中にどこを切除してどこを繋いで再建するのか、などを理解しておくことで、スムーズに手術介助につくことができます。

PDの手術では普段の消化管のオペでは使用しない器械や機材も加わるので、使用目的や手順をしっかり押さえておきましょう!

今回は、膵頭十二指腸切除術(PD)の術式と手術の流れについてお伝えします。

膵頭十二指腸切除術(PD)とは?

膵頭十二指腸切除術(PD)とは、膵頭部と十二指腸、胃と胆嚢などの広い範囲を切除する手術です。

切除後は膵管と空腸、胆管と空腸、胃と空腸をそれぞれ繋ぎ、再建します。

切除範囲と再建後のイメージは、次の画像の通りです。

なぜPD手術と呼ばれるのか?

膵頭十二指腸切除術は、略称としてPDと呼ばれることが多いです。

PDと呼ばれる理由としては、膵臓(pancreas)のPと十二指腸(duodenum)のDが由来と言われています。

現場では「PDのオペ」などのように英語の方を使って呼び合うことが多かったです。

膵頭十二指腸切除術(PD)の適応疾患

  • 膵内胆管ガン
  • 十二指腸ガン
  • 十二指腸乳頭部ガン
  • 膵頭部ガン

膵頭十二指腸切除術(PD)の適応としては、上記の疾患が挙げられます。

膵頭十二指腸切除術(PD)の麻酔と術中体位

全身麻酔+硬膜外麻酔で実施

全身麻酔だけで行われることもありますが、私が働いていた手術室では硬膜外麻酔を併用していました。

切開範囲も広く、術後の疼痛緩和目的で硬膜外麻酔を併用して行われています。

術中体位は仰臥位

術中体位は仰臥位で、執刀医側の手を広げた状態でセッティングすることもあります。

組み立て式の開創器を使用する場合は、患者さんの肩などに離被架が当たらないように保護しておきましょう。

膵頭十二指腸切除術(PD)の手術の流れ

ここでは、膵頭十二指腸切除術(PD)の手術の流れについて紹介します。

全身麻酔+硬膜外麻酔

硬膜外麻酔が終わったら全身麻酔に移ります。

全身麻酔導入後に体位固定やセッティングを行います。

私が働いていた手術室では全身麻酔導入後に輸血ルートも確保していました。

正中切開で開腹する

剣状突起の下から臍の上までの範囲を正中切開します。

十二指腸と膵頭部の剥離

正中切開後、下大静脈と腹大動脈が見えるまで剥離を行い、十二指腸と膵頭部を授動します。

この時に大動脈周囲のリンパ節に転移の有無や腫瘍の浸潤がないか確認します。

胃を切除する

大網の右半分を横行結腸から外し、小網を開けることで膵頭部の全体像が見えてきます。

転移の有無を判断し、切除ができるかどうか確認します。

胃を切除する理由

胃切除後の再建で繋いだ吻合部の潰瘍を防ぐために、十二指腸側の半分の胃を切除します。

血管処理と総胆管の切除

肝動脈と胆管、門脈を確認して、血管テープを使ってテーピングをします。

総肝動脈から分岐する胃十二指腸動脈の血管処置を行います。

胆嚢は総胆管を切除して摘出します。

膵臓を切断する

膵臓に癒着している門脈を剥離し、膵体部をテーピングして切除部分の膵頭部側を絹糸で結紮します。

膵断端からの出血は縫合して止血します。

膵実質を切除して、膵管を見つけたら膵管チューブを挿入して膵液を体外へ排出させます

門脈に流れ込む静脈も結紮・切断して血管処理をします。

小腸を切断する

空腸から十二指腸の移行部を確認し、空腸を切断します。

空腸を切断することで膵頭部と周辺臓器とひと塊りになって摘出されます。

【再建】膵管空腸吻合

膵管に挿入したチューブを腸管内に貫通させ、膵臓の断端が隠れるように空腸を覆いながら縫合します。

膵管チューブを挿入したまま吻合する理由

膵液の漏れは縫合不全や組織の融解などの重篤な合併症を引き起こす原因となるため、チューブを挿入した状態で吻合します。

挿入したチューブは吻合が完成した2〜3週間後に抜去します。

【再建】胆管空腸吻合

総胆管と空腸を吻合するため、総胆管の口径に合わせて空腸を切開し、吸収糸をかけて縫合します。

【再建】胃空腸吻合

残った胃と空腸を器械吻合または手縫いで吻合します。

機会吻合については、こちらのページで詳しく紹介しています。

ドレーン挿入して閉腹

ドレーンは膵管空腸吻合部と胆管空腸吻合部に留置します。

ドレーンを留置した場所は、手術終了後の申し送りでも必要になるのでしっかり理解しておきましょう。

膵頭十二指腸切除術(PD)のポイント

術中は血管処理や止血などで針付きの吸収糸を使用するため、すぐに渡せるように準備しておくことが求められます。

手術の進行に合わせてテーピングやチューブの留置などを行うため、使用目的や使用方法をしっかり理解しておきましょう。

症例によっては、腹膜播種などがある場合はインオペになることもあるため、イレギュラーに対して冷静に対応できるよう準備が必要です。

膵頭十二指腸切除術(PD)で使用する主な器械・機材

膵頭十二指腸切除術(PD)では、下記のような器械を使用します。

  • ブルドッグ鉗子
  • 血管テープ
  • 膵管チューブ
  • 血管鉗子

あまり馴染みのない器械があり不安になる新人ナースもいますが、使い方を事前に把握しておくことがポイントです。

膵頭十二指腸切除術(PD)に慣れるために

膵頭十二指腸切除術(PD)の手術は、消化器外科の手術の中でも手術時間が長く集中力が求められます。

慣れない間は術野を見ていても何をしているのか分からず、手術についていけない人もいます。

手術前に切除部位と吻合箇所をしっかり勉強しておくことで、手術の流れを理解することができます。

膵頭十二指腸切除術(PD)の勉強にオススメ

膵頭十二指腸切除術(PD)の手術は消化器外科の手術の中でもマスターしておきたい術式の一つです。

でも、参考書を見てもイメージが沸かない、手術の流れがイマイチ理解できない新人ナースもいると思います。

この参考書は、手術室で行われる消化器外科の手術の流れがイラストで分かりやすく紹介されています。

今回紹介した膵頭十二指腸切除術(PD)についても載っているので、消化器外科の手術前の予習や復習に活用できる1冊です。

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