手術室では全身麻酔の他に末梢神経ブロックなども実施しますが、あまりよく分からないと感じている人もいるのではないでしょうか?
末梢神経ブロックは末梢神経に局所麻酔薬を注射する麻酔法であり、手術方法によって選択されます。
末梢神経ブロックを行うときは必要になる物品も異なるので、しっかり理解しておきましょう。
今回は、手術室で行われる末梢神経ブロックの種類と方法についてお伝えします。
コンテンツ
末梢神経ブロックとは?
末梢神経ブロックとは、上肢や下肢などの体幹を通る神経を遮断する麻酔方法です。
全身麻酔などと違って、狙った神経をピンポイントでブロックする方法になります。
例えば下肢の手術の場合であれば、大腿神経をブロックするなど手術内容によって神経の部位も選択されます。
全身麻酔と併用して行われることもある
末梢神経ブロックは、全身麻酔を併用して行われることが多いです。
全身麻酔をかけている状態であっても神経刺激によって体動は起こるため、術中のトラブルを予防するために神経ブロックを行います。
末梢神経ブロックの種類
末梢神経は支配領域によってブロックできる部位が異なります。
手術室で行われる主な末梢神経ブロックで使用される神経の種類について見て行きましょう。
上肢
上肢は腋窩を通る腕神経叢から分岐する末梢神経に対してブロックを行います。
腕神経叢から分岐する神経は、橈骨神経、正中神経、尺骨神経の3種類であり、それぞれ手術部位に合わせてブロックを行います。
下肢
下肢は腰に位置する腰神経叢とその下の仙骨神経叢から分岐する神経叢に対してブロックを行います。
腰神経叢は大腿神経、閉鎖神経、外側大腿皮神経と分岐して、仙骨神経叢は坐骨神経に分岐するので、手術部位に合わせてブロックを行います。
体幹
体幹は肋間神経に対してブロックが行われることが多く、胸部外科による手術の術後疼痛管理の目的で行われることもあります。
手術室で末梢神経ブロックが行われる主な手術
ここでは、手術室で末梢神経ブロックが行われる主な手術について見て行きましょう。
泌尿器科のTUR-Btのオペ
泌尿器科のTUR-Btの手術では、尿道付近に腫瘍がある場合は閉鎖神経ブロックを実施します。
閉鎖神経ブロックを行う目的としては、術中操作により神経刺激が起こることで大腿が内転して術中トラブルに繋がってしまうためです。
整形外科の大腿骨や膝のオペ
整形外科の大腿骨置換術や膝の人工関節の手術などでは、術後の疼痛緩和の目的で末梢神経ブロックを併用することがあります。
大腿神経は大腿部の知覚と前面部を支配しているので、大腿から膝関節までの範囲の手術の時に適応されます。
末梢神経ブロックの方法
末梢神経ブロックを行うときは、超音波を使用して神経の部位を確認する方法が主流となっていますが、電気刺激を利用することもあります。
電気刺激により神経を刺激する
末梢神経ブロックを行うときに電気刺激を使用することも多いです。
針先以外が絶縁されている神経ブロック用の針を電気刺激装置をつなぎ、患者さんの皮膚に電極のパッチを貼り付けます。
電気を流した時に針先が神経に触れている場合は、患者さんに貼った電極の筋肉に収縮が見られます。
筋収縮が見られたら電流を下げて、針先の位置を確認します。
末梢神経ブロックの注意点
手術で行われる神経ブロックには下記のような注意点があります。
麻酔薬の血管内への注射に注意
神経ブロックで使用する麻酔薬は使用量も多いため、直接血管内への注射に注意が必要になります。
直接血管内に麻酔薬が注射されてしまうと、局所麻酔薬中毒を引き起こし最悪の場合は心停止に至ります。
手術室で必要な麻酔を理解するために
手術室では全身麻酔の他に末梢神経ブロックなどの局所麻酔の知識も必要になります。
麻酔によって方法や使用する薬剤なども異なるため、覚えることが多く大変に感じている人もいると思います。
麻酔を行う目的や注意点などのポイントをしっかり押さえておく事が大切です。
末梢神経ブロックの勉強にオススメ
手術室では麻酔に関する知識も必要になるため、勉強する事がたくさんあります。
特に麻酔に関する知識は、副作用や注意点をしっかり理解しておく事が必要になります。
この参考書では、今回紹介した末梢神経ブロックについて詳しく紹介されているので勉強に活用できる1冊です!
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