脊髄くも膜下麻酔の穿刺部位や合併症は?手術看護のポイント

脊髄くも膜麻酔は腰椎麻酔、脊椎麻酔、ルンバールなどとも呼ばれ、手術室で行われる麻酔の一つです。

帝王切開は脊髄くも膜下麻酔で実施されるため、導入介助や術中管理なども必要になります。

新人オペナースの中には、こんな疑問を持っているのではないでしょうか?

  • 脊髄くも膜下麻酔ってなに?
  • 脊髄くも膜下麻酔後に血圧低下した時の対応は?
  • 脊髄くも膜下麻酔の看護や注意点は?

今回は、脊髄くも膜下麻酔の穿刺部位や合併症、看護のポイントなどをお伝えします。

脊髄くも膜下麻酔とは?

脊髄くも膜下麻酔は、くも膜下腔と呼ばれる場所に局所麻酔薬を作用させる麻酔の方法です。

全身麻酔とは異なり、脊髄の神経に作用し意識消失を伴わないことが特徴です。

脊髄くも膜下麻酔で行われる主な手術

脊髄くも膜下麻酔で行われる主な手術は、次の通りです。

  • 帝王切開術
  • 鼠径ヘルニア
  • 肛門腫瘍切除術

全身麻酔とは異なり、主に下腹部より下の手術部位の時に選択されます。

帝王切開では全身麻酔を使用すると、お腹の胎児に麻酔薬が移行してしまうため、脊髄くも膜下麻酔が選択されます。

脊髄くも膜下麻酔の穿刺部位と作用機序

脊髄くも膜下麻酔の穿刺部位と作用機序について、詳しく見ていきましょう。

脊髄くも膜下麻酔の穿刺部位

脊髄くも膜下麻酔の穿刺部位はL3/4あるいはL4/5の椎体から穿刺します。

硬膜外麻酔の穿刺部位は頸椎から仙骨部までと幅広く、穿刺部位にも違いがあります。

脊髄くも膜下麻酔の作用機序

脊髄くも膜下麻酔の作用機序は、以下の通りになります。

皮膚→皮膚組織→棘上靱帯→棘間靱帯→黄色靱帯→硬膜外腔→硬膜→硬膜下腔→くも膜→くも膜下腔

クモ膜下腔は髄液で満たされており、薬液が作用することで麻酔効果が発現します。

脊髄くも膜下麻酔で使用される主な局所麻酔薬

脊髄くも膜下麻酔で使用される局所麻酔の種類について見ていきましょう。

高比重液と等比重液のマーカインの使い分けとは?

手術室で主に使用される局所麻酔薬は、ブピバカインのマーカインです。

マーカインには高比重や低比重などの種類がありますが、疾患によって使い分けが必要になります。

比重は薬液の広がりを表しており、高比重を使用した場合は重力に従って広がります。

例えば、体の片側だけに麻酔薬を効かしたい場合は、高比重のマーカインを注射して側臥位を保持することで下にした部位にのみ麻酔をかけることができます。

逆に、大腿骨骨折などの下肢の骨折などで患側を上側にした側臥位しか保持することができない場合は、等比重のマーカインを使用します。

等比重のマーカインは高比重に比べて麻酔範囲の広がりが遅いですが、重力の影響を受けず血圧低下も緩徐であり作用の持続時間が長いことが特徴です。

脊髄くも膜下麻酔の合併症と禁忌

脊髄くも膜下麻酔には血圧低下などの合併症や禁忌が存在します。

脊髄くも膜下麻酔の合併症

脊髄くも膜下麻酔の合併症として、以下のものが挙げられます。

  1. 血圧低下
  2. 徐脈
  3. 呼吸抑制
  4. 脊髄くも膜下頭痛

①血圧低下

血圧低下は、脊髄くも膜下麻酔の中でも最も多い副作用です。

交感神経が遮断されることにより血圧低下が起こるため、局所麻酔薬の投与後は、頻回に血圧測定を行い血圧の変動をチェックします。

②徐脈

徐脈は、高位脊髄レベルまで麻酔薬が上昇した場合に見られる症状であり、アトロピンを投与して対処します。

③呼吸抑制

呼吸抑制は頸髄レベルまで麻酔が上昇した時に見られ、呼吸が抑制されている場合は気管挿管による気道確保を行います。

④脊髄くも膜下頭痛

術後1〜2日ほどで発症し、穿刺時に空いた硬膜の穴から髄液が漏出し、脳脊髄圧の低下が原因で起こります。

脊髄くも膜下麻酔の禁忌

脊髄くも膜下麻酔の禁忌は次の通りです。

  • ショック状態
  • 出血傾向
  • 抗凝固剤・抗血小板薬を投与中
  • 重度心不全
  • 穿刺部位の感染症や敗血症
  • 穿刺が困難な場合

ショック状態

ショック状態では脊髄くも膜下麻酔の副作用である血圧低下が著しくなってしまうため、禁忌です。

出血傾向

穿刺部位である硬膜外腔に血腫を形成する可能性があるため、脊髄くも膜下麻酔の禁忌です。

抗凝固剤・抗血小板薬を投与中

上記と同様に、内服確認と休薬確認が必要になります。

重度心不全

心機能が低下している場合は、麻酔後に血圧低下を起こすためリスクが高くなります。

穿刺部位の感染症や敗血症

脊髄くも膜下麻酔の穿刺によって、髄膜炎や硬膜外膿瘍をきたす可能性があるため禁忌です。

穿刺が困難な場合

脊椎手術後の患者さんや高度の肥満の方は穿刺できなかったり、麻酔後の効果が不十分になる可能性があるため禁忌です。

脊髄くも膜下麻酔後に急速な血圧低下が起こった時の看護

帝王切開の緊急手術で行う場合は、麻酔科医が不在の時もあります。

産婦人科医が脊髄くも膜下麻酔を実施し、外回りの看護師がモニターチェックを行います。

手術中には、脊髄くも膜下麻酔の副作用として血圧低下の症状が見られることもあるため、対処法を知っておきましょう。

バイタルサインをチェックする

脊髄くも膜下麻酔の麻酔薬投与後は、バイタルサインを頻回にチェックする必要があります。

術中に急激な血圧低下が見られたら、まずバイタルサインを数回測定します。

輸液や昇圧薬を準備する

血圧低下していることを主治医に報告し、輸液や昇圧薬を準備します。

指示に従い輸液負荷と昇圧薬の投与を行い観察を続けます。

患者の呼吸状態も観察しておく

血圧低下に伴い呼吸状態が悪化することもあるため、酸素マスクの準備を行い酸素投与も考慮します。

悪心や嘔吐、意識レベルの低下などに注意しながら経過を観察します。

脊髄くも膜下麻酔を理解するために

脊髄くも膜下麻酔は帝王切開の手術で選択される麻酔方法であり、緊急時は麻酔科医が不在の状態でオペが進められることもあります。

麻酔科医が不在の場合は、看護師が循環管理などを行わなければならないため、トラブル時にも対応できるよう知識を持っておくことが大切です。

血圧低下などが起こったらすぐに執刀医に報告し、対処できるよう準備しておきましょう。

また、脊髄くも膜下麻酔では患者さんの意識がハッキリしている状態なので、声かけなどもオペ室の看護の一つです。

手術室で必要な麻酔の勉強にオススメ

手術室では手術介助だけでなく、麻酔薬の副作用やトラブル時の対応なども必要になります。

全身麻酔は麻酔科医が常に管理を行っているため安心感もありますが、脊髄くも膜下麻酔などは看護師が管理しなければならないこともあります。

この参考書では、手術室で必要な麻酔の合併症への対処法について詳しく載っています。

新人ナースの勉強にも活用できる1冊となっているので、麻酔の合併症と対処法の勉強を進めたい人にオススメです。

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