輸血はすぐに実施できない!?術中輸血の基準とクロスマッチ検査

手術によっては、術中輸血が必要になる場合があります。

自己血輸血や輸血の予定がある患者さんのオペであれば慌てることはありませんよね。

しかし、急に輸血が必要になってしまった時は、対応できるか自信がない新人ナースも多いはず。

輸血の知識はオペ室だけでなく、看護師としても必要になるのでしっかり押さえておきましょう。

今回は、オペナースが術中輸血を行う際に知っておきたい術中輸血の知識について紹介します。

術中輸血とは手術中に輸血を行うこと

術中輸血は、手術中に輸血を行うことであり、主に出血量が多い場合などに適応されます

手術中の出血は予測されることですが、術中輸血には出血量の基準があります。

術中輸血の基準

術中輸血を行う時は、循環血液量から出血量を計算し必要があれば輸血が実施されます。

術中輸血の基準と対応について見ていきましょう。

循環血液量の15〜20%の出血

細胞外液量を補充するために、細胞外液系輸液(酢酸リンゲル液など)を出血量の2〜3倍投与します。

循環血液量の20〜50%の出血

細胞外液系輸液とともに、赤血球濃厚液を投与します。

循環血液量の50〜100%の出血

細胞外液系輸液と赤血球濃厚液のみの投与では、血清アルブミンの値が低下してしまいます。

膠質浸透圧の低下による肺水腫や乏尿が出現する危険性があるため、適宜等張アルブミン製剤を投与します。

術中の出血量の把握と対応の予測が大切

術中に出血量が増えると、患者さんの状態が悪化してしまうため、出血量の予測と対応が必要になります。

術中操作によっては出血量が増える場面もあるので、細かく麻酔科医に報告を行うなど、先を読んで動くことが大切です。

麻酔科医によっては、様々なの準備を指示されることもあります。

輸血製剤などの基本知識については、以下の記事を参考にしてください。

1単位って何?輸血を扱う前に確認しておきたい基本知識!

輸血を実施する前には検査が必要

手術中に輸血が必要になった場合は、すぐに輸血を実施できる訳ではありません。

輸血を行うためには、交差適合試験(クロスマッチ)などの検査が必要になります。

輸血実施前に行われる検査は以下の通りです。

  • クロスマッチ
  • ABO血液試験
  • Rh血液型D抗原検査
  • 不規則抗体スクリーニング検査

交差適合試験(クロスマッチ)

このクロスマッチは、血液型不適合による重大な副作用が起こるのを防ぐために実施されます。

血液製剤と患者さんの血液型が不適合のものを投与してしまうと、凝集や溶血が起こりショックになることもあります。

これは、抗体抗原反応が原因で引き起こされます。

ABO血液試験

輸血を行うにあたって必要になる、血液型を判定するための試験です。

血液製剤と患者さんの血液型が一致しない場合、輸血を実施してしまうと血液が凝集してしまうため、血液型の判定は重要になります。

Rh血液型D抗原検査

ABO血液型と別に、Rh因子の有無によって分ける血液型のことです。

D抗原を持つものをRho(+)、D因子を持たないものをRho(−)と言います。

日本人の99.5%がRho(+)であり、輸血を行う際には重要なチェック項目の1つになります。

不規則抗体スクリーニング検査

A型の人には抗B抗体、O型の人には抗A・B抗体が存在しており、このように規則的に存在している抗体のことを規則的抗体と言います。

また、抗原に反して存在する抗体のことを不規則抗体といます。

過去に輸血の経験、妊娠や出産経験がある人は、この不規則抗体を有している可能性が2%ほどあるため、輸血を行う際には事前にチェックします。

これらの検査を行い、問題がなければ輸血を実施することができるのです。

クロスマッチは輸血の直前に行う

患者さんの状態や出血が予測される手術の場合には、あらかじめ輸血が確保されていることが多いです。

輸血の準備が行われている場合でも、クロスマッチは輸血の直前に実施されます。

そのため、輸血が必要になる前に麻酔科医と連携を図り、早めにクロスマッチの依頼を行い検査結果を送ってもらうよう手配が必要になります。

輸血実施の前はダブルチェックが基本

輸血実施のための輸血製剤が届いたら、投与前に必ずダブルチェックを行います。

病院によってはPDA認証システムを取り入れているところもありますが、人の目で確認することが大切です。

ダブルチェックの項目
  • 患者氏名
  • 血液型
  • 製剤名
  • 有効期限
  • クロスマッチの検査結果

これらの項目を、クロスマッチの検査票や製剤の項目を見ながらダブルチェックを行います。

血液製剤は種類によって扱いが異なる

血液製剤の種類によって投与方法や扱いが異なるため、押さえておきましょう。

赤血球製剤

加温せずにそのまま使用することが基本ですが、急速大量輸血が必要な際は専用加温器(37℃)を使用して加温して投与します。

血小板製剤

加温せずに輸血製剤を受け取ったら、バック全体をゆっくり振とうさせ、すぐに使用します。

血漿製剤

-20℃以下で保存されているため、手元に届いた時は凍っているので、加温が必要になります。

30〜37℃で急速に融解を行い3時間以内に使用します。

これらが血液製剤の扱い方法ですが、加温を行う場合は血液製剤の破損を防ぐために、必ずビニール袋などで保護を行ってから行いましょう。

輸血用の輸液セットは2種類

輸血の際はルートセットが必要になります。

それぞれの輸血製剤に合わせたルートセットを使用することが重要になります。

  • 赤血球輸血セット
  • 血小板輸血セット

輸血セットにはこの2種類があります。

赤血球輸血セット

赤血球輸血セットは、主に輸血用と書かれており、点適筒にフィルターが付いているものになります。

輸血用セットを使用するのは、赤血球製剤と血漿製剤になります。

輸液セットについているフィルターは、血液製剤に含まれる凝集塊を除去するためのものです。

凝集塊がルート内に通ってしまうと、ルート閉塞の原因などになってしまうため、フィルターを用いて処理を行っているのです。

そのため、普通のルートセットを使用すると、血液製剤が詰まってしまい正常に投与できなくなってしまうため、決められた輸血用ルートを使用する必要があります。

血小板輸血セット

血小板輸血セットには、輸血セットと違って点滴筒にフィルターがついていない見た目になります。

血小板輸血セットは、ルートの患者側の先端部分にフィルターがついており、メッシュの口径も輸血セットより小さくなっています。

このフィルターは血小板の凝集塊を濾過するための役割があるため、血小板製剤を輸血する場合は、専用の輸血ルートを使用しましょう。

このように輸血を行うためには基本を押さえて行うことが必要です。

輸血を理解して実施するために

手術室で働く新人ナースの中には、輸血の対応に自信がない人も多いのではないでしょうか?

輸血は間違えてしまうと患者さんの命にも関わるため、確認して投与を行うことが大切です。

輸血を行う際は外回りがメインに動くことになりますが、直接介助も術中の出血量などをこまめに報告を行うなど、チームワークが重要になります。

術中輸血の勉強にオススメ

手術室では、緊急輸血など輸血を扱う機会が多いです。

いきなり輸血の指示が出て慌ててしまう新人ナースや、輸血の対応に自信がない人も多いです。

この参考書では、術中の輸血について詳しく紹介されているので、輸血に自身がない新人ナースにオススメです。

また、緊急輸血の対応なども載っているので、勉強に活用できる1冊です。

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