輸血の扱いについてはまだ自信がない、という新人オペナースも多いのではないでしょうか?
オペ室では輸血を行う機会が多いですが、投与した後もしっかり観察を行わなければなりません。
全身麻酔で眠っている患者さんの観察は難しいと思う人もいますが、副作用を早期発見するためにもしっかり観察を行いましょう。
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輸血で起きる副作用の種類
輸血は他人の血液が混入することで、多くの副作用が存在しています。
副作用を防ぐために事前に検査を行いますが、検査だけでは防げない副作用もあるため、投与後の観察が必要です。
- 即時型
- 遅発型
輸血を投与して起こる副作用には、大きく分けてこの2種類に分類されます。
手術室で見られることがある副作用は、主に即時型になります。
輸血に関しての基本的な知識や投与方法については、以下の内容を参考にしてみてください。


即時型
即時型とは、輸血を投与した直後から6時間以内に起こるものがあります。
- ABO不適合(輸血開始直後〜数日)
- アナフィラキシーショック(輸血後10分以内)
- 輸血関連性急性肺障害(輸血後1〜2時間以内、あるいは6時間以内)
- 輸血関連循環過負荷(輸血後6時間以内)
- 細菌感染症(輸血後4時間以内)
これらが即時性の副作用になります。
遅発型
遅発性とは、輸血を行なってから数日や数ヶ月の時間を経て起こる副作用のことです。
- 輸血後移植片対宿主症(輸血後1〜2週間)
- ウイルス感染(輸血後数ヶ月〜)
遅発性は時間が経ってから起こるため、手術中にはみられませんが患者さんの経過を知るためには、このような副作用があることを覚えておきましょう。
即時性は早期発見と対処がポイント
即時性の副作用は輸血投与後、すぐに症状が見られる副作用のことです。
ABO不適合(輸血開始直後〜数日)
血液製剤や患者さんの取り違えによって起こる、人為的なミスが原因としてあげられます。
A型の人に確認ミスや取り違えによってB型の血液製剤などを投与してしまうことで、抗体を破壊してしまい重篤になってしまうケースも多いです。
発熱、悪寒、穿刺部位の熱感、浮腫など
アナフィラキシーショック(輸血後10分以内)
アナフィラキシーショックは体内に異物が侵入したことで、強い抗体反応の結果により生じるショック症状です。
輸血後10分以内に現れるため、輸血投与後も観察を行うことが大切です。
チアノーゼ、血管浮腫、頻脈、血圧低下など
輸血関連性急性肺障害(輸血後1〜2時間以内、あるいは6時間以内)
抗白血球抗体と白血球と抗原抗体反応により補体が活性化され、好中球が肺の毛細血管に損傷を与えることで発症するものです。
敗血症や肺炎、急性肝炎など重篤な症状になりやすいです。
低酸素症、血圧低下など
輸血関連循環過負荷(輸血後6時間以内)
輸血の容量負荷により起こる心不全です。
頻脈、血圧上昇など
細菌感染症(輸血後4時間以内)
血液製剤の不適切な管理、保管によってパック内で細菌が繁殖し輸血時に感染してしまう症状です。
発熱、悪寒、頻脈、血圧上昇、血圧低下など
これらが輸血実施時に見られる副作用ですが、輸血直後に見られるものも多く、すぐに対処しなければなりません。
オペ室での観察方法
輸血の副作用が起こることは分かりましたが、手術室では患者さんの様子や訴えを聞くことができないため、早期発見が難しそうに思えますよね。
術中は、手術部位によって覆布がかかって見えないこともありますが、見えないからこそ観察が重要になるのです。
- 輸血投与後は15分間はバイタルサインを観察し続ける
- 刺入部位に変化がないか観察を行う
- 見える範囲で顔色や皮膚の色などを確認する
これらがオペ室で行う観察方法ですが、見える範囲が制限されているため、見える部分でしっかり観察を行い看護記録に残しておきましょう。
少しでも異変が見られたら、すぐに麻酔科医、主治医に報告をして対処します。
術中輸血を安全に行うために
手術中の輸血はバタバタしてしまうことも多いですが、輸血実施後の観察は病棟よりも慎重に行うことが大切になります。
全身麻酔で訴えることができない患者さんの代わりに、早期発見することがオペナースの役割でもあるのです。
しっかりと観察を行い安全な手術が行われるよう、知識を身につけましょう。
術中輸血の勉強にオススメ
新人ナースの中には、輸血の扱いに自信がない人もいると思います。
手術室では、事前に輸血が必要な場合や緊急で輸血が必要になることもあります。
この参考書では、手術中に実施される輸血について詳しく紹介されているので、輸血の勉強にオススメです。
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