腹式単純子宮全摘術(STH)と広汎子宮全摘術の違いについて

婦人科の手術はシンプルでわかりやすいものも多く、早い段階で経験しているという新人オペナースもいると思います。

婦人科の子宮を摘出する手術には、腹式単純子宮全摘術(STH)と広汎子宮全摘術の2種類がありますが、どちらも同じような術式ですが、違いは知っていますか?

実は、同じ子宮全摘ですが、術式によって手術時間も内容も変わってくるのです。

今回は、腹式単純子宮全摘術(STH)と広汎子宮全摘術の違いについてお伝えしていきます。

術式の違いはガンの浸潤度

子宮を全摘する手術には、腹式単純子宮全摘術(STH)と広汎子宮全摘術の2つがありますが、どちらも子宮を摘出することは共通しています。

共通点はありますが、目的が変わってくるのです。

腹式単純子宮全摘術(STH)

腹式単純子宮全摘術(STH)が適応される疾患は、以下の通りです。

  • 子宮筋腫や子宮腺筋症などの良性腫瘍
  • 子宮体がん(0期〜1期)、卵巣がん、子宮頸がんなどの悪性腫瘍

子宮筋腫などは、大きいもので直径40cmほどのものもあり、子宮筋腫によって月経過多による貧血、筋腫による腹部圧迫症状の改善目的で行われます。

切除する部位は、良性腫瘍の場合は子宮のみ摘出を行い、卵巣は温存することが多いです。

悪性腫瘍の場合は、子宮と卵巣を摘出します。

広汎子宮全摘術

広汎子宮全摘術は、ステージI〜III程度の子宮体癌に対しておこなわれます。

子宮体がんのステージの分類は以下の通りです。

  • ステージI:がんが子宮体部のみに認められているもの
  • ステージII:がんが子宮体部を超えて子宮頸部に広がったもの
  • ステージIII:がんが子宮外に広がっているが、骨盤を超えて広がっていないもの、または骨盤内、あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの

これらが子宮体がんのステージ分類ですが、ステージIIIになると、骨盤内腔までがんが転移、浸潤していることが考えられ、手術時間も長くなります。

広汎子宮全摘術では、子宮と膣の一部、卵巣・卵管、骨盤内のリンパ節、周囲の組織など骨盤壁から近い範囲で切除を行います。

腹式単純子宮全摘術と違う点は、子宮を摘出するだけでなく、骨盤内腔の周囲の組織やリンパ節まで切除を行うことです。

広汎子宮全摘術はリンパ郭清を行う

広汎子宮全摘術では、腹式単純子宮全摘術よりも切除範囲が広範囲になり、リンパ節郭清も行います。

オペ中に郭清したリンパ節を生検に提出して、がんの浸潤度を決定したりするため、手術中は忙しくなります。

ドクターから受け取ったリンパ節は、必ず部位を聞いて皮膚ペンなどで書き残しておくことが重要になります。

郭清されるリンパ節

郭清されるリンパ節は複数あるので、確認しておきます。

  • 総腸骨節
  • 外腸骨節
  • 外鼠径上節
  • 内鼠径上節
  • 閉鎖節
  • 内腸骨節

これらが郭清されるリンパ節ですが、手術によって少量だったり、かなり多い量であったりするので、ドクターから受け取った時に分類できるよう、受け取った時の確認を必ず行うことが重要です。

各リンパ節の場所を見ていきましょう。

  • 総腸骨節:外腸骨動脈上端の外側のリンパ組織
  • 外腸骨節:外腸骨動脈前面の血管に沿ったリンパ組織
  • 外鼠径上節:下腹壁静脈の起始部より下のリンパ組織
  • 内鼠径上節:外腸骨静脈の内側の恥骨骨膜上に存在
  • 閉鎖節:閉鎖神経に沿ったリンパ節
  • 内腸骨節:内腸骨動脈の周囲のリンパ節

これらがリンパ節の部位ですが、術中はどのリンパ節を摘出したのかを把握しておかなければ、わからなくなってしまいます。

広汎子宮全摘術は合併症のリスクが高い

腹式単純子宮全摘術であれば、術中操作で触るのは子宮とケースによっては卵巣ですが、それ以外の組織に触れることはあまりありません。

子宮筋腫が大きい場合などは、筋腫からの出血が多くなってしまったりと合併症のリスクはありますが、手術終了後はドレーンも留置せずに終わることも多いです。

しかし、広汎子宮全摘術では、骨盤内腔の組織も触るため、術中の合併症が起こるリスクが高くなります。

広汎子宮全摘術の合併症
  • 出血
  • 尿路損傷
  • 腸管損傷

出血や多臓器損傷が起こるリスクがある

これらが広汎子宮全摘術の主な術中の合併症ですが、静脈や動脈付近のリンパ節郭清を行うため出血が多くなります。

また、骨盤内腔の臓器を触るため、尿路損傷を起こしたり、子宮に近い直腸などの腸管損傷を起こしてしまう危険性があるのです。

このような合併症が起きた際に、すぐに対応できるよう、予測して器械だしを行うことが大切になります。

手術の目的と術式を理解するために

同じ子宮摘出でもこのような違いがあるので、しっかり知識を身につけておくことが大切です。

広汎子宮全摘術では、通常より出血することが考えられるため、ガーゼの枚数に余裕を持って準備をしておくなどの対策が必要になります。

そして、リンパ節の部位を知らないまま受け取って無くしてしまったりすると、術中インンシデントにつながるため、しっかり把握して手術に挑むようにしましょう。

術式と手術の流れの勉強にオススメ

手術室で行われる手術の中には、良性か悪性かによって切除範囲が変わることもあります。

手術によっては術中の診断で切除範囲の変更もあるため、術式をしっかり理解しておくことが大切です。

この参考書では、手術の流れや術式が詳しく写真付きで紹介されているので、勉強に活用できます。

婦人科をはじめとする56の術式が載っているので、新人ナースにオススメの参考書です。

オペナーシングは年間購読がお得

オペナーシングの年間購読の詳細ページ

オペナーシングはメディカ出版から毎月発行されている専門雑誌ですが、便利な年間購読がオススメです。

オペナーシングを年間購読は下記の3プランがあります。

  1. オペナーシング 12ヶ月分+増刊号2冊+ヨメディカ
  2. オペナーシング 12ヶ月分+増刊号2冊
  3. オペナーシング12ヶ月分

それぞれのプランで値段が異なりますが、送料は無料です。

特に①のプランは増刊号2冊とヨメディカが付いているので、通常で購入するよりもかなりお得です。

ヨメディカとは?

ヨメディカとは、オペナーシングの2010年度以降に発行されたバックナンバーをオンライン上で読み放題できるというものです。

雑誌を持ち歩く必要がなく、オンラインでバックナンバーが読み放題なので出先でもサッと調べることができます。

知りたい情報を検索することもできるので、論文やケースの勉強にも活用できます。

オペナーシングの年間購読の詳細ページ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です