手術室で扱う5つの脳室ドレーンとオーバードレナージの知識

手術後にはドレーンを挿入して手術室を退室する患者さんもいますが、ドレーンには色々な種類があるので違いが分からないという人もいるのではないでしょうか?

特に脳外科の手術では手術部位によって使用されるドレーンの種類も変わってくるため、正しいドレーンの選択が必要になります。

そして、脳外科の患者さんの中にはドレーンが挿入された状態で入室することも多いです。

ドレーンを扱う機会が多いオペ室ですが、手術室の看護師として押さえておきたい脳室ドレーンの扱いについて紹介します。

脳外科のドレーンは挿入部位によって種類が違う

手術室では体腔内の血液などを排液することを目的に、ドレーンを留置することがありますよね。

手術の科目問わずドレーンを留置するオペは多いですが、ドレーンの部位が覚えられないという人も多いと思います。

脳外科のオペの場合も、ドレーンの留置部位によって種類が違います

  1. 脳室ドレーン
  2. 硬膜外ドレーン
  3. 硬膜下ドレーン
  4. 脳槽ドレーン
  5. 腰椎ドレーン

これらが脳外科のオペで使用されるドレーンの種類になります。

それぞれの留置部位によってドレーンの目的があるので、詳しく見ていきましょう。

1.脳室ドレーン

脳室ドレーンは側脳室の前角という中心部の顔よりの部分に留置します。

目的は、脳脊髄液の通過障害や吸収障害による急性水頭症に対して行われます。

脳室ドレーンが留置される疾患は、くも膜下出血や脳室出血を伴う脳出血、脳腫瘍に伴う水頭症などです。

脳室ドレーンは使用しているメーカーによって全長の長さや穴の多さなどによって数種類ほど種類があります。

2.硬膜外ドレーン

硬膜外ドレーンは開頭手術後に、骨弁の下あるいは皮弁の下に留置します。

皮下や硬膜との骨の隙間に溜まった血液を排出させる目的で留置し、通常は自然流出させます。

3.硬膜下ドレーン

硬膜下ドレーンは慢性硬膜下血腫の穿頭術後に血腫のあったスペースに留置します。

慢性硬膜下血腫の除去後には、洗浄に用いた生理食塩水や空気などが留置していることがあるので、これらを身体から排出させるための役割があります。

硬膜下ドレーンは自然排出させます。

4.脳槽ドレーン

脳槽ドレーンは脳槽に留置します。

くも膜下出血の時に生じる血性の脳脊髄液を外にだす目的で留置します。

5.腰椎ドレーン

腰椎ドレーンは脳の内部ではなく、脊髄内腔に留置します。

くも膜下出血や脊髄炎などの時に脳脊髄液を外にだす目的で使用されます。

これらが脳室ドレーンの留置部位と目的になりますが、基本的にドレーンの見た目は同じであり、手術によっては硬膜外ドレーンと硬膜下ドレーンを同時に留置する場合もあります。

見た目はどちらもシリコン性の透明なチューブですが、ドレーンによって構造が違うのです。

ドレーンの先端部分が異なる

脳室ドレーンや硬膜外ドレーンなどドレーンには色々な種類がありますが、ドレーンによって先端が異なるので見極めることができるのです。

ここではシラスコン®︎製品のドレーンについて見ていきます。

1.脳室ドレーン

脳室ドレーンはチューブの先端が白く、先端部分に穴が4〜8ヶ所空いているものです。

穴の開き方はチューブの先端部分を中心にあらゆる方向に空いています。

他のドレーンに比べると丸みを帯びた見た目が特徴です。

脳室ドレーンは全部で6種類あります。

2.硬膜外ドレーン

硬膜外ドレーンは全長が80cmほどであり、先端から等間隔に穴が空いているものです。

先端から等間隔に20個の穴が付いているので、脳室ドレーンと比べると穴の数が多いことが特徴です。

3.硬膜下ドレーン

硬膜下ドレーンは先端が丸くなっており、穴の数は10〜12ヶ所開いています。

見た目は硬膜外ドレーンに似ていますが、先端に違いがあるので見分けることができます。

4.脳槽ドレーン

脳槽ドレーンは脳室ドレーンの見た目に似ていて、先端が白くなっています。

見た目は似ていますが、脳槽ドレーンの方が穴の数が多いことが特徴です。

脳槽ドレーンの穴の数は10〜12個となっています。

5.腰椎ドレーン

腰椎ドレーンは硬膜外麻酔で使用されるドレーンです。

先端が鋭利になっており、メモリがついていることが特徴です。

他のドレーンと比べると内径も小さくなっています。

このように同じように見えますが、先端部分や穴の数が違うので、混合しないよう特徴を覚えておきましょう。

脳室ドレナージは外耳孔の位置が基準

手術室ではドレーンを留置しても管理までは行う機会が少ないため、ドレーンの管理に自信がないという人もいると思います。

脳外科の手術では脳室ドレナージを行なっている状態で入室する患者さんもいますが、脳室ドレナージの扱いには注意が必要です。

脳室ドレナージはサイフォン原理によって排液する

硬膜外ドレーンや硬膜下ドレーンなどは自然に排液を促すものですが、脳室ドレーンはサイフォン原理というメカニズムを利用して排液を行なっています。

脳室ドレーンのドレナージ場面を見たことがないという人もいると思いますが、脳室ドレーンの場合は、バッグの位置に注意して圧のコントロールを行います。

サイフォン原理とは、高低差を利用したものであり、高低差による圧のコントロールのみで排液を促します。

高低差を利用しているため、外耳孔の位置を0点として圧のコントロールを行います。

オーバードレナージを起こす危険性もある

脳室ドレーナージは高低差を利用した排液方法ですが、オーバードレナージを起こしてしまう危険性があるのです。

オーバードレナージとは、設定圧が低くなりすぎて一気に脳脊髄液が流れ出してしまうことです。

オーバードレナージが起こる要因としては、設定位置より低い位置ある場合などです。

体動によりドレーンが床に落ちてしまった場合やエアフィルターのクランプを開放し忘れた時、エアフィルターが濡れて詰まってしまった時に起こるトラブルです。

オーバードレナージを起こすと硬膜下血腫になる可能性がある

オーバードレナージは脳脊髄液が一気に流れ出てしまうことによって引き起こされるトラブルですが、オーバードレナージが起こると硬膜下血腫になる可能性があります。

髄液ドレナージの設定圧が低くなりすぎると、髄液の排出が過剰になり頭蓋内圧が低下します。

また、短時間に多量の髄液が排出されると脳室が急激に縮小することによって、硬膜下血腫を引き起こす可能性があるのです。

手術室でもオーバードレナージが起こる危険性が高い

オーバードレナージを起こしてしまうと、正常にドレナージが行えず患者さんの命にも関わる状態になってしまいますが、手術室でもオーバードレナージを起こしてしまう危険性があるのです。

  • 移動時にロールクランプを全て閉じたことを確認して、ワンタッチ式のクランプも閉鎖する
  • エアフィルターを濡らさないようにする

これらがオーバードレナージを防ぐポイントになりますが、エアフィルターが濡れてしまうと圧の調整ができなくなり、オーバードレナージを起こしてしまうため、扱いには注意が必要です。

脳室ドレーンは最初にクランプの閉鎖を確認

脳室ドレナージを行なったまま入室してくる患者さんの場合は、手術室の看護師は注意が必要です。

  • 最初にドレナージ回路のクランプが閉鎖されているかを確認
  • クランプが閉鎖されていることを確認してからドレーンバッグを移動させる

クランプを閉じる場合は、患者さんに近い部位のクランプから閉め、クランプを開放するときは、患者さんから遠い部位のクランプから開けていくことが原則です。

これは、急激な排液の移動を避け、感染を防止するためです。

オーバードレナージなどのトラブルを防ぐためにも、閉鎖の順番は必ず守るようにしましょう。

ドレーンを理解して手術介助を行うために

手術室ではドレーンの留意に関わる機会が多く、実際の管理や観察、扱いなどに自信がないという人も多いと思います。

脳外科のドレーンの中でも脳室ドレーンはデリケートな部分も多く、扱いには注意しなければなりません。

クランプの閉鎖などを確認せずにドレーンを移動させてしまうと病状が急変してしまうこともあるのです。
 

脳外科の手術を勉強したい人にオススメ

脳外科の手術は術野も狭く、手術の流れが理解できない人も多いと思います。

手術部位によって使用されるドレーンの位置も変わってくるため、しっかり理解しておくことが必要になります。

この参考書では、脳神経外科の手術について写真付きで詳しく紹介されているので、新人ナースの勉強に活用できます。

手術の流れや必要な器械などが載っているので、脳神経外科の手術の勉強にピッタリの1冊です。

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