大腿骨転子部骨折は、高齢者に多く見られる骨折であり、高齢者が多いオペでもあります。
整形外科では、大腿骨転子部骨折に対してCHS法で行われることが多いです。
術式や使用する器械は決まっているものが多いので、使用する順番をしっかり覚えておくことがポイントです。
コンテンツ
CHS法は転子部骨折に用いられる術式
CHS法は、コンプレッション・ヒップ・スクリュー法のことであり、大腿骨転子部骨折で用いられる術式です。
骨折した転子部と大腿骨をスクリューでつなぎ合わせて固定を行うイメージです。
人工骨頭や人工関節手術とは違って、骨折部分を整復して終わるため、手術時間も比較的短いことが特徴です。
主に使用する器械
器械は主に、ハンドドリルやゲージ、ドライバーを使用します。
- Tハンドルドリルガイド
- ガイドピンデプスゲージ
- コンポリーマー
- ラグスクリューインサーター
- ラグスクリューアダプター
- ドリルガイドハンドル
- スクリューデプスゲージ
- スクリュードライバー
これらが使用する器械の種類になりますが、決まったものを使用することが多いので、セットとして組まれていることが多いです。
術中体位は牽引台を使用
CHSの手術では、通常のベッドではなく牽引台を使用します。
イメージが入りやすいように、健側は股関節外転屈曲、膝関節屈曲位にしておきます。
簡単に言い換えると、股関節を外側に開いて膝を曲げる体勢です。
患側は、清潔になる前にイメージ下で整復を行います。
CHSの手術の流れ
CHSの手術は大まかに、ガイドピンを刺す→スクリュー→プレート固定という流れになります。
- 皮切
- 展開
- ガイドピン刺入
- リーミング・タッピング
- ラグスクリューの挿入
- プレート挿入
- プレート固定
- コンプレッションスクリュー
- 洗浄・閉創
- X線撮影
これらが細かい手術の流れになりますが、それぞれの手順を見ていきましょう。
皮切
大転子部遠位部に約10cmほどの場所にメスで皮膚切開を行います。
皮下組織以降は電気メスで展開を行います。
- メス
- 電気メス
- 筋鈎
展開
大腿筋膜、外側広筋を展開して大腿骨を露出させます。
ガイドピン刺入
Tハンドルガイドを大腿骨に当てて、イメージ画像を見ながらガイドピンを挿入します。
- ドリル
- Tハンドル
- ドリルガイド
リーミング・タッピング
ガイドピンの刺入が終わったら、デプスゲージで計測を行います。
ガイドピンの上からコンボリーマーを挿入し、リーミングを行います。
コンボリーマーにはメモリが付いているので、計測した数値を確認して指示通りにメモリを合わせてドリルに装着します。
症例によってはタッピングを行うこともあります。
- ドリル
- コンボリーマー
ラグスクリューの挿入
ラグスクリューを挿入します。
ラグスクリューは、ラグスクリューインサーターに装着した状態でドクターに渡します。
- ラグスクリューインサーター
プレート挿入
ラグスクリューにサイドプレートをセットして挿入し、インパクターとハンマーで打ち込みます。
プレート固定
ドリルでドリリングを行い、デプスゲージで測定し、スクリューで固定を行います。
ドリリングのときは、スリーブを使用して行います。
- ドリル
- ドリルガイド
コンプレッションスクリュー
症例に応じてコンプレッションスクリューを挿入します。
全症例ではなく、骨片部に開きがあり骨折部分に圧迫をかけたいときに行われます。
洗浄・閉創
創部を洗浄して閉創に移ります。
X線撮影
術後のレントゲン撮影を行い、問題がなければ手術終了となります。
CHS法のポイント
CHSの手術は、基本的に手術の流れは変わりません。
そのため、テンポよく器械だしが出来るかが重要なポイントになります。
整形外科の手術は無菌操作を徹底して行う必要があるため、焦ってインプラントを落としてしまった!ということがないようにしましょう。
整形外科の器械出しに慣れるために
病院によっては整形外科は2年目から担当する病院もあります。
整形外科の手術は、一般外科の手術と違って無菌操作を徹底して行われるため、器械の扱いにも注意が必要です。
慣れない間は焦ってしまうことも多いと思いますが、手術の流れをしっかり覚えて落ち着いて対応できるようにしましょう。
整形外科の手術は、他の手術と違って内容がわかりやすいので、面白さに気づくと楽しいですよ!
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手術室完全マスター 整形外科の器械出し―カラー写真で理解する手順・ポイント・テクニック
整形外科の手術は、器械の扱いと流れを覚えることが大切になります。
整形外科は清潔に厳しい手術なので、気軽に見学にも行けず手術のイメージが湧かない新人も多いかもしれません。
この参考書では手術の流れが写真で紹介されているので、実際の流れをイメージすることができます。
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