オペナースが手術前に必ず確認しておきたい中止薬とその理由

手術室では麻酔薬などの薬剤は扱いますが、一般的な内服薬などの知識に自信がない人も多いのではないでしょうか?

手術を受ける患者さんの中には、基礎疾患を持っており様々な種類の内服をしている人も多いです。

治療のための内服薬の中には、抗凝固剤などのように手術に影響してしまうため中止する必要があるものも。

今回は、オペナースが手術前に必ず確認しておきたい中止薬とその理由についてお伝えします。

基礎疾患を持っている患者さんも多い

手術を受ける患者さんの中には高齢者も多く、基礎疾患を持っている人もいます。

主な基礎疾患として、脳梗塞や心筋梗塞、高血圧、糖尿病など生活習慣病も少なくありません。

これらの基礎疾患に対して内服での治療を行なっている人も多いです。

基礎疾患は手術に影響を与えるものが多いので、しっかり把握しておくことが大切です。

継続して内服している薬もある

基礎疾患を抱えている患者さんの中には、継続して内服している薬もあります。

基礎疾患と内服薬の例を下記の通りです。

  • 疾患内服薬
  • 高血圧降圧薬
  • 糖尿病インスリン
  • 脳梗塞抗血小板薬や抗凝固剤

このように継続的に内服が必要な疾患もありますが、手術前には中止する必要があるものも多いです。

手術前チェックしておきたい休止薬

基礎疾患があり継続的な内服治療を行なっている患者さんの場合は、術前に麻酔科医から中止薬の指示が出されます。

中止薬の指示に従って、病棟ナースと連携して中止されているか確認することが必要になります。

術前にチェックしておきたい主な休止薬は以下の通りです。

抗凝固剤

抗凝固剤は、心疾患や脳梗塞などの治療で内服しますが、血液を固めない目的があります。

血液が固まってしまうと血管が詰まってしまい、心疾患や脳梗塞などを引き起こしてしまいます。

血液が固まらない状態では術中に止血ができないので、手術前に内服を休止する必要があります。

抗血小板薬

抗血小板薬も、抗凝固剤と同様の目的で内服していますが、血液凝固に関わっているため手術前に内服を中止する必要があります。

血糖降下薬

血糖降下薬は、糖尿病の治療のために内服されていますが、血糖値のコントロール目的があります。

糖尿病の患者さんが手術を行う場合は、予定手術の時は通常より早く入院を行い血糖コントロールを図ります。

血糖コントロールが出来なければ術後のリスクにも影響してしまうため、術前からコントロールを行います。

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内服薬の場合は約1週間前から中止してインスリン投与に切り替えを行います。

術中は輸液やインスリンを投与して血糖コントロールを図ります。

降圧剤

降圧剤は、高血圧の治療のために内服されていますが、血圧を下げる目的があります。

降圧剤には様々な種類があり、薬剤によって継続するものや休止するものが異なります。

ACE阻害薬などは、交感神経抑制による術中低血圧を起こしてしまうので、手術当日は休止となります。

手術前の休止薬は中止する期間が異なる

手術前に休止する薬剤は、休止する期間が異なるので押さえておきましょう。

手術の数日前から中止する薬剤

手術の数日前から中止する薬剤は、以下のものがあります。

  • ワルファリンカリウム(約4日前)
  • アスピリン(約5日前)
  • シロスタゾール(約5日前)

ワルファリンカリウムは抗凝固剤であり、ワーファリンと呼ばれています。

また、アスピリンやシロスタゾール(商品名:プレタール)は、抗血小板薬であり、どちらも手術の数日前から中止する必要があります。

手術当日に中止する薬剤

手術当日に中止が必要な薬剤は、以下のものがあります。

  • ヘパリン(約4〜6時間前)
  • インスリン
  • ACE阻害薬
  • アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

ヘパリンは手術の4〜6時間前に中止するので、申し送りの際に終始した時間を確認しておくことが必要になります。

そのほかの内服薬は、手術前日まで内服しているため、手術当日の朝は内服していないか確認しておきましょう。

手術前に中止せず継続する薬剤

手術前に中止せず継続する薬剤は、以下の通りです。

  • β遮断薬
  • α遮断薬
  • カルシウム拮抗薬

これらの薬剤は降圧薬になりますが、手術前に中止せず朝の内服を済ましてから手術室に出棟します。

申し送りの時に朝の内服もしっかり確認しておきましょう。

なぜ手術前に内服を休止する必要があるのか?

手術前には内服薬の休止が必要になりますが、なぜ休止する必要があるのでしょうか?

抗血小板薬と抗凝固剤は出血に関係する

心疾患や脳梗塞の治療や予防のために内服されることが多い抗血小板薬と抗凝固剤ですが、手術中の出血に影響してしまいます。

血小板は血管の損傷部位に対して一次止血を形成しますが、抗血小板薬を内服することで止血する機能を阻害し、血液を止血しにくくします。

また、抗血液凝固剤を内服することで血液が固まりにくくなり、出血すると止血時間が延長してしまい、術中出血量の増加や輸血の増加の原因になり中止することが必要とされています。

手術前にヘパリンに置換する理由

抗血小板薬や抗凝固剤を内服している人は、内服を中止してしまうと心疾患や脳梗塞などのリスクが高くなってしまうため、手術前に病棟でヘパリンに置換を行います

ヘパリンに置換する理由としては、抗血小板薬や抗凝固剤は内服してから作用するまでの血中半減期や血小板の寿命が関係しています。

血小板の寿命は約10日前後であり、抗血小板薬などは内服してから72時間ほど効果が持続します

そのため、手術直前に中止しても効果が残り続けているため、数日前から中止してヘパリンに置換します。

ヘパリンは術前の4〜6時間前に中止することで、凝固機能が回復するので術中のリスクが軽減されます。

術前にヘパリン置換を行なっている患者さんの場合は、必ずいつ中止しているのかを申し送りで確認しておきましょう。

手術前に必要な中止薬を理解するために

手術室では麻酔薬などの薬剤は取り扱いますが、一般的な内服薬などの取り扱いの機会が少ないため自信がない人も多いと思います。

手術前に麻酔科医から中止薬の指示が出されますが、「なぜ中止する必要があるのか?」を理解することが大切です。

中止薬が中止されていなかった場合は、手術が中止されてしまうこともあるので、病棟ナースと連携して確認しておくことが必要です。

術前にカルテをしっかり見て、基礎疾患と内服薬を確認しておきましょう。

術前の中止薬の勉強にオススメ

手術を受ける患者さんの中には、様々な既往歴を持った人も多いです。

基礎疾患の治療の中には手術に影響してしまう薬剤もあるため、術前にしっかり確認しておくことが大切です。

この参考書では、手術前に中止すべき中止薬について詳しく紹介されているので、新人ナースの勉強に活用できる1冊です。

「なぜ中止する必要があるのか」までしっかり書かれているので、理解しながら仕事に活かすことができます。

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