整形外科の手術で使用するターニケットの扱い方について

整形外科では他の一般的な手術と異なり、ターニケットなどの機械を使用して行われます。

ターニケットは術野の確保のための出血量を抑える目的で使用されますが、使用時間に制限があるなどの注意が必要なポイントがあります。

特に外回りナースは時間のカウントなども必要になるため、扱い方や機械操作なども理解しておく事が必要になります。

今回は、整形外科の手術で使用するターニケットの扱い方についてお伝えします。

ターニケットとは止血帯のこと

整形外科で使用するターニケットとは、止血帯のことです。

見た目は血圧計のマンシェットと同じような形をしており、上肢や下肢の付け根に止血帯を巻きつけ駆血のために使用します。

空気圧で圧迫して止血する

ターニケットは専用の機械を使用し、マンシェットに繋がれたチューブから空気が送られることにより、空気圧で圧迫して止血を行う仕組みになっています。

機械のスイッチを入れると設定した圧になるまで空気が送られ、駆血した状態が維持されます。

ターニケットは整形外科の手術で使用される

ターニケットは、主に整形外科の上肢や下肢の骨折の手術の際に使用される事が多いです。

整形外科以外では、形成外科のオペで使用されることもあります。

出血量を抑える目的がある

ターニケットを使用する目的としては、空気圧で止血することにより術野の出血量を抑える事が挙げられます。

ターニケットを巻き加圧する事で、虚血状態で手術を行い出血量を抑える事ができます。

また、ターニケットを使用するときはターニケット単体ではなく、エスマルヒと呼ばれるゴムバンドも合わせて使用します。

エスマルヒについては、下記で詳しく説明します。

ターニケットの設定圧と時間

ターニケットを使用するときは、設定圧と使用時間などチェックすべきポイントがあります。

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

ターニケットの推奨カフ圧

ターニケットは、設定したカフ圧に自動的に空気が送り込まれる仕組みになっています。

ターニケットのカフ圧は患者さんの血圧によって決定されます。

推奨されるカフ圧は、次の通りになります。

  • 上肢:患者の最高血圧+100mmHg
  • 下肢:患者の最高血圧×2mmHg

カフ圧の設定に関しては、施設によって標準値が決まっていると思いますので確認しておきましょう。

ただし、患者さんの状態や体形などによって設定を変更する事があるため、カフ圧は毎回、必ず確認してから設定する事が大切です。

ターニケットの使用時間の目安

ターニケットを使用するときは、使用時間のカウントを行います。

ターニケットの上限時間は施設によって決まりがあるので、確認しておきましょう。

また、麻酔記録にもターニケットによる駆血時間が記載されるため、開始時間と終了時間はしっかり記録しておく事が大切です。

私が働いていた病院では90分が上限として設定されており、60分で1度声を必ずかける決まりになっていました。

ターニケットの使用の手順

ここでは、ターニケットの使用の手順についてみていきましょう。

皮膚の保護

ターニケットを巻くときは、直接巻くのではなく必ずクッション材などを当ててから使用します。

ターニケットを直接皮膚に巻きつけてしまうと、圧力によって皮膚トラブルを起こしてしまう危険性があります。

必ずクッション材を使用して皮膚を保護してから巻きつけるようにしましょう。

マンシェットを巻きつける

ターニケットのマンシェットはマジックテープになっているので、血圧測定と同様にマンシェットを巻きつけます。

巻きつける部位としては、上肢や下肢の付け根のあたりになります。

チューブを接続しておく

マンシェットを巻きつけたら、マンシェットと送気用のチューブを接続しておきます。

これで術前の準備が完了した状態になります。

抹消側からエスマルヒを巻きつける

清潔な状態で手術側の抹消からエスマルヒを巻きつけていきます。

エスマルヒとは、ゴム製のバンドになったものであり、ターニケットで駆血したときにうっ血しないように抹消側から中枢に血流を戻すために使用します。

エスマルヒはゴム製のバンドですが、ラテックスフリーのディスポーザブルのものも使用されています。

ターニケットを指定された圧に設定する

ターニケットを指定された圧に設定し、執刀医にも設定圧の値を確認します。

基準の圧で使用される事が多いですが、患者さんの血圧の状況を把握してから圧の指示を受けることもあります。

駆血開始時は「◯時◯分 ターニケットONにします」と声をかける

駆血を開始するときは、必ずスイッチONと同時に声かけを行います。

ターニケットの使用時間は、術中のカウントにも必要になるため、全員に聞こえるように声出しを行う事がポイントです。

術中は30分ごとに執刀医に時間確認の声かけをする

ターニケットのカウントに関しては、施設によって決まりがあると思いますが、術中は30分ごとに執刀医に時間確認の声かけを行います。

「ターニケット30分経過しています」

このように適宜声かけを行う事で、執刀医は時間を確認しながら手術を進める事ができます。

私が働いてた手術室では60分経過すると1度駆血を解除して、5分ほどオフにした状態で再度駆血するなどの対応を行なっていました。

ターニケットを使用する時のポイント

ターニケットを使用するときには、次の2点のポイントを抑えておく事が重要になります。

  • 設定圧は毎回確認しておく
  • 必ず使用時間をカウントする

設定圧は患者さんの血圧や体形などによって異なるため、毎回数値を確認しておく事が大切です。

基準値が決まっているからと言って、毎回同じ数値とは限らないため、必ず確認しておきましょう。

ターニケットを使用している間は使用時間のカウントが必要になるため、外回りナースはターニケットの時間も把握しておく事が重要です。

時間がオーバーしてからでは合併症のリスクも高くなってしまうため、こまめな報告が手術をスムーズに進めるポイントになります。

ターニケットによる合併症

整形外科の手術で使用される事が多いターニケットですが、ターニケットにも合併症があるため知っておきましょう。

ターニケットペイン

ターニケットペインとは、ターニケットを使用することによって生じる痛みのことです。

「手術創による痛みとは異なる感覚神経が活発化することで生じる痛み」と言われています。

ターニケットペインが起こる詳しいメカニズムについては解明されていませんが、ターニケットを使用した後に生じる事が多いと言われています。

ターニケットペインにより血圧の上昇など、循環器にも影響が見られる事があります。

クラッシュ症候群(挫滅症候群)

ターニケットを使用する事で起こる合併症の中には、クラッシュ症候群と呼ばれるものがあります。

クラッシュ症候群とは、ターニケットなどにより持続的に組織が圧迫されることにより血流障害を生じることで、血中のカリウム濃度が上昇し腎不全などの全身症状を引き起こすものです。

駆血時間が長くなればなるほどリスクが高くなると言われています。

実際に手術室で起こる確率はそれほど高くありませんが、可能性はゼロではありませんので知っておくと役に立ちます。

整形外科の手術をスムーズに進めるために

整形外科の手術ではターニケットなどを使用する事が多いため、機器の取扱方法について理解しておく事が大切になります。

特に術中はターニケット使用時間のカウントが必要になるため、常に時間を把握しながら声かけを行うなどの配慮が求められます。

また、ターニケットは駆血することにより皮膚トラブルや神経障害などのリスクもあるため、使用後の観察も重要なポイントの一つです。

整形外科の勉強にオススメ

整形外科の手術では、一般外科とは異なり特殊な器械などを使用するため覚えることも多いです。

術式はそれほど複雑ではありませんが、スピード感も求められるため、手術の流れについていけないと感じる新人ナースもいます。

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