手術前はピルの休薬が必要!経口避妊薬を休薬させる理由とは?

患者さんの内服薬の中には、手術を受ける前に休薬が必要な薬剤もあります。

女性の経口避妊薬(ピル)も手術前に中止が必要な薬剤の一つです。

  • なぜピルを術前に中止しなければならないの?
  • ピルを中止しなかった場合はどうなるの?
  • そもそも…経口避妊薬(ピル)って何?

手術室や病棟で働く看護師の中には、このような疑問を感じている人もいるかもしれません。

経口避妊薬(ピル)は避妊目的で内服している人もいますが、副作用などのリスクも伴います。

今回は、経口避妊薬(ピル)を手術前に休薬させる理由についてお伝えします。

なぜ手術前に経口避妊薬(ピル)を休薬するのか?

経口避妊薬(ピル)は避妊や月経不順の改善などを目的に内服をしている女性も多いです。

避妊や月経不順などを改善する効果もありますが、ピルの副作用の一つとして静脈血栓塞栓症(VTE)が挙げられます。

手術により静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高くなってしまうため、手術前に中止する必要があります。

静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高くなる

静脈血栓塞栓症(VTE)とは、血管内で血液が凝固して血栓となり、深部静脈や肺の血管に詰まってしまう疾患のことです。

経口避妊薬(ピル)を内服することにより、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは通常の3〜5倍に増加します。

さらに、手術の影響により血液が凝固しやすい状態であることや長期臥床などが加わることにより、ハイリスクとなります。

なぜ経口避妊薬(ピル)の内服によって、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高くなるのでしょうか?

経口避妊薬(ピル)は卵胞刺激ホルモン(FSH)などの分泌を減少させることで排卵を抑制します。

排卵を抑制することにより避妊効果を発揮でき、月経をコントロールする事ができますが、エストロゲンの作用により肝臓で血液凝固因子の合成を促進させてしまいます。

このような副作用があることから、手術前には休薬が必要になります。

手術の4週間前から休薬する

具体的な休薬期間としては、手術の4週間前から中止が必要になります。

再開は手術が終わって2週間以上経過してからになります。

婦人科で処方される経口避妊薬(ピル)とは?

経口避妊薬(ピル)は婦人科で処方される薬剤ですが、どのようなものか疑問に持った人もいるのではないでしょうか?

ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類が含まれており、それぞれが作用することにより避妊効果を発揮します。

ここでは、経口避妊薬(ピル)についてお伝えします。

経口避妊薬の作用機序

経口避妊薬(ピル)を内服することで避妊効果を得る事ができます。

経口避妊薬(ピル)は視床下部→下垂体→卵巣内分泌系に作用して、卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンを減少させる事で卵胞の発育と排卵を抑制します。

この作用により、経口避妊薬(ピル)を継続的に続ける事で卵巣の休止状態を保つ事ができます。

女性ホルモンの基本知識

排卵や生理などの女性のカラダに起こる変化には、女性ホルモンが大きく関わっています。

主なホルモンの名称と作用については、以下の通りです。

  • GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン):FSHとLHの分泌を促す。
  • FSH(卵胞刺激ホルモン):卵胞を発育させるエストロゲンの分泌を促す。
  • LH(黄体形成ホルモン):排卵を促しプロゲステロンの分泌を促す。
  • エストロゲン(卵胞ホルモン):子宮内膜を増殖させる
  • プロゲステロン(黄体ホルモン):排卵後に増加し子宮内膜を肥厚させる

経口避妊薬のリスク(

経口避妊薬(ピル)にはいくつかの副作用もあります。

一般的には悪心、嘔吐、頭痛などが報告されていますが、静脈血栓症(VTE)や脳卒中、虚血性心疾患、子宮頸がんなどのリスクが高くなると言われています。

経口避妊薬の種類と商品名

経口避妊薬(ピル)の種類と商品名は、次の通りです。

商品名 一般名
トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユ レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール
シンフェーズ ノルエチステロン・エチニルエストラジオール
ファボワール、マーベロン

デソゲストレル・エチニルエストラジオール

経口避妊薬の休薬忘れは手術延期になる

手術予定日の4週間前から中止が必要な経口避妊薬(ピル)ですが、休薬忘れの場合は、手術を延期する場合が多いです。

冒頭でも触れたように静脈血栓塞栓症のリスクが高くなるため、休薬ができていないときは手術が延期となってしまうため、内服管理の確認が必要になります。

私が働いていた手術室でも、術前訪問時にピルの内服を続けている事が発覚し、手術が延期になったケースもあります。

患者さんの自己申告がない場合もある

手術前に行われる説明では常用している内服薬についての確認を行いますが、患者さんの自己申告がない場合もあるため、確認しておく事が重要になります。

私も女性の患者さんのときは、必ずピルの内服の有無を確認するようにしていました。

中にはホルモン療法を目的として内服している人もいるので、その場合は主治医の指示を確認して対応します。

手術前に中止が必要な薬を理解するために

内服薬の中には手術前に中止が必要な薬剤もあるため、理解しておく事が求められます。

カルテを見て「休薬の指示が出ているから休薬しているだろう」と思い込むのではなく、術前訪問時に再度確認する事がインシデントを防ぐことに繋がります。

実際に休薬の指示が出されていたのにも関わらず、休薬できていなかったということも現場では起きています。

手術室で働くナースとして、手術前に中止が必要な薬剤やその理由などを理解しておきましょう。

手術室で扱う薬剤の勉強にオススメ

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