手術室の腹腔ドレーンの留置部位の根拠と目的を手術別に解説!

病棟で見かける患者さんの中には術後にドレーンが留置されている人もいますよね。

手術室ではドレーンを留置する場面に携わることが多いですが、なぜその手術でその部位にドレーンを留置するのかということまで理解できていますか?

聞かれたら答えられる自信がないという人も多いかもしれません。

ドレーンの留置はきちんとした目的があって行われているので、しっかりと押さえておきましょう。

今回は腹腔ドレーンの留置部位と目的を手術別に解説していきますのでぜひ、参考にしてみてください。

ドレーンは手術を行った部位に留置する

開腹手術の術後は腹腔ドレーンを留置することが多いですが、手術を行った部位に留置します。

留置部位と目的は以下の記事に詳しく紹介しているので参考にしてください。

手術で使用する腹腔ドレーンの挿入部位をイラストで解説!

ドレーンを留置して排液を行う

ドレーンの目的は、手術後に切除した部分に死腔ができその部分に体液が貯留しやすいためドレーンを留置して排液を行います。

例えば、胃全摘手術を行った場合はウィンスロー孔に腹腔ドレーンを留置しますが、ダグラス窩などには留置しません。

ダグラス窩は直腸と骨盤の空間になりますが、胃の手術では関係がない部位ですよね。

このように、腹腔ドレーンを留置する場合は手術部位と関係がある部分に留置されるのです。

では、手術別に腹腔ドレーンの留置部位と目的を見ていきましょう。

胃全摘術、幽門側切除術

胃全摘術

胃全摘術ではルーY法で再建されることも多いですが、腹腔ドレーンはウィンスロー孔、左横隔膜下に留置します。

ルーY法とは、残った胃の一部を空腸で吻合する場合と、食道空腸吻合+空腸空腸吻合を行う2パターンがあります。

どちらもルーY法であり、切除範囲で吻合部分が変わってきます。

ルーY再建のについては以下の記事を参考にしてみてください。

再建方法は3種類!幽門側切除術の再建方法と術式 胃全摘手術で行われるルーY法の再建術式のポイント

幽門側切除術

幽門側切除術は胃の下半分を切除して十二指腸と残胃を吻合を行い、ウィンスロー孔にドレーンを留置します。

ウィンスロー孔は吻合部からの出血予防が目的です。

ウィンスロー孔、左横隔膜下に留置する目的

膵液漏の有無や術後出血の予防が目的です。

脾臓や膵体尾部を合併切除した場合は、膵尾部や膵断端からの膵液漏の危険性が高くなるため留置します。

また、膵臓付近のリンパ節郭清は必須で行われるので、膵臓付近からの浸出液を排出できるよう左右から留置することが多いです。

ドレーンの排液が白濁や赤ワイン色に変化してきた場合は膵液漏の疑いがあるので、すぐにドクターヘ報告が必要です。

肝切除術

肝切除ではウィンスロー孔と右横隔膜下にドレーンを留置します。

ウィンスロー孔は、切除部分からの出血予防、組織液の排液の目的があります。

また、右横隔膜下は仰臥位になった時に組織液などがたまりやすい部分であり、呼吸により周囲の体液が吸引されて貯留しやすくなるためドレーンを留置します。

胆嚢切除

胆嚢切除では、ウィンスロー孔、モリソン窩にドレーンを留置します。

ウィンスロー孔は、切除部分からの出血予防、組織液の排液が目的になります。

モリソン窩は、仰臥位では右上腹部でもっとも低い位置となるため体液や血液が貯留しやすいためドレーンを留置します。

膵頭十二指腸切除

膵頭十二指腸切除では肝管空腸吻合部、膵管空腸吻合部、モリソン窩にドレーンを留置します。

肝管空腸吻合部と膵液漏膵管空腸吻合部は、縫合不全の早期発見のためであり、胆汁漏モリソン窩は組織液の排出が目的です。

結腸切除術

結腸切除では部位によってドレーンの位置も変わってきます。

結腸右半切除では、右傍結腸溝やモリソン窩にドレーンを留置します。

結腸左半切除では、左傍結腸溝、S状結腸切除はダグラス窩、定位前方切除では仙骨前面に留置します。

結腸の手術は腹部の下半分の範囲であり、死腔部分にドレーンを留置して縫合不全の早期発見を目的にしています。

手術直後は血性の排液が見られる

閉創と共にドレーンを留置して排液バッグを接続しますが、手術終了直後の排液は術中操作の影響もあり血性の排液が見られます。

膵頭十二指腸切除術などでは、膵液漏などの合併症も考えられるため終了後に血性ではない排液が見られたら要注意です。

また、手術終了後に排液バッグに貯留する血液の量が多い場合も術後出血や縫合不全を起こしている危険性があるので、退出するまで観察を続けます。

排液バッグには留置部位を記入する

施設や病院にもより方法は違うこともありますが、排液バッグには必ず留置部位を記入しておくようにしましょう。

病棟への申し送りの際に、ドレーンの留置部位は必須になるので、どこに留置されているかを把握しておく必要があります。

開腹手術では患者さんの身体に何本ものドレーンが留置されているため、的確に申し送りを行うことが大切です。

腹腔ドレーンを理解するために

外科の手術では、様々な部位にドレーンが留置されることが多いです。

術中は術野が見えにくく、留置部位が分からないこともありますが、留置部位をしっかり理解しておくことが大切です。

何本も挿入され、留置部位が分からない時は、ドクターに聞いて正しい部位を把握することが必要です。

ドレーンの留置部位はある程度決まっているので、術式と合わせて覚えておきましょう!

ドレーンの勉強にオススメ

術後に留置されるドレーンの位置が分からない新人看護師も多いと思います。

ドレーンの留置部位と目的をしっかり理解しておくことが大切ですが、この参考書では消化器外科のドレーンの留置部位が紹介されているので勉強に活用できます。

イラストや写真が多く使われているので、読みやすく分かりやすい点が特徴です。

ドレーンの留置部位は、申し送りでも重要なポイントになるのでしっかり理解しておきましょう!

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