整形外科の手術がクリーンルームで行われる根拠について

手術室で行われる手術の中には、外科や脳外科、心臓外科、眼科など様々な分野の手術が行われます。

規模の大きい総合病院や大学病院であれば手術室の部屋の数も多いですが、全てが同じ部屋というわけではないのです。

手術室の中にはBCRと呼ばれる「バイオクリーンルーム」と呼ばれる部屋があります。

この部屋では整形外科や脳外科、心臓血管外科などの手術が行われますが、なぜ、開腹手術などとは違って部屋が決まっているのでしょうか?

今回は、バイオクリーンルームで行われることが多い整形外科を例に挙げてその理由を紹介していきます。

クリーンルームは清潔レベルが一番高い

バイオクリーンルームは、手術室のほとんどの施設で設置されている部屋です。

クリーンルームの説明として、空気中の浮遊塵埃が限定された清浄度レベル以下に管理され、必要に応じて湿度・温度などを一定の基準に制御する部屋という内容のことが書いてあることが多いですが、よく分からない人も多いかもしれません。

分かりやすく説明すると、空気中の細かいチリやホコリを規定された数よりも少ない状態で保った状態であり、状況にあわせて湿度や温度も一定の基準に保つことができる清潔な部屋ということです。

私たちが普段生活している空気中には、目には見えない細かいチリやホコリが舞い散っています。

ホコリや雨、霧などは肉眼で見ることができますが、バクテリアやウイルスなどは肉眼で見ることができません。

空気中にはこのように肉眼では確認できない小さなチリやホコリが舞っているため、手術室ではチリやホコリを減らすために術衣を着用したり、クリーンルームで空調管理を行い一定の基準を保っているのです。

バイオクリーンルームは陽圧の空間

クリーンルームは空調管理を行なっていますが、イマイチよく分からないという人もいると思います。

クリーンルームは、部屋の上部から絶えず空気が流れて、下部のフィルターから空気が循環するような仕組みになっています。

空気を上から下へ循環させることによって、クリーンルームの中は陽圧になり、外部からチリやホコリが入り込まないような設定になっているのです。

循環している空気は、フィルターを通して常にキレイな空気が流れています

清浄度のクラス

  • クラスI 高度清潔区域:バイオクリーン手術室、易感染患者病室(陽圧)
  • クラスII 清潔区域:手術室 (陽圧)
  • クラスIII 準清潔区域:NICU、ICU、CCU、血管造影室など(陽圧)
  • クラスIV 一般清潔区域:一般病室、診察室、材料室(等圧)
  • クラスV 汚染管理区:細菌検査室、病理検査室、気管支検査室(陰圧)

バイオクリーンルームで整形外科手術が行われる

一般的な手術室も清潔区域なので病棟などの空間と比較するとキレイですが、バイオクリーンルームは、一般の手術室よりもはるかにキレイな空間を維持しています。

このバイオクリーンルームはどの手術でも使用できるわけではなく、主に整形外科の人工関節手術などで使用されます。

バイオクリーンルームで消化器外科や口腔外科、耳鼻科、婦人科の手術が行われることは少ないです。

整形外科の中でも、デブリなどの手術であればBCRの部屋は使用されません

クリーンルームで行われる手術

  • THA(人工股関節置換術)
  • UHA(人工骨頭置換術)
  • TKA(人工膝関節置換術)
  • UKA(人工膝関節単顆置換術)
  • PLIF(腰椎椎体間固定術)

これらの手術はバイオクリーンルームで行われることが多いので、押さえておきましょう。

では、なぜこれらの手術はバイオクリーンルームのような特別キレイな空間で手術が行われるのでしょうか?

人工関節手術は感染を防ぐ必要がある

整形外科で行われる人工関節置換手術などは、感染を予防するためにクリーンルームで手術を行います。

人工関節などは人工物であり、感染を起こしてしまうと人工関節ごとダメージを受けてしまい、人工関節の抜去など、治癒が長期間に渡ってしまうことが考えられます。

人工関節は可動域が狭くなった関節をスムーズにしたり、歩けるようになったりとメリットも多いですが、デメリットもあるのです。

人工関節は感染を起こしやすい

人工股関節置換術や人工膝関節置換術などの手術では、関節を人工のものに入れ替えますが、人工物なので体にとっては異物という扱いになります。

異物なので人工関節が入っている場所は、生体に対する生体の防御反応の働きにくい場所になってしまいます。

このため、人工関節の周囲は普通の状態よりも細菌感染を起こしやすく、感染を起こしてしまうと治りにくいのです。

術中操作での感染のリスクを減らすためにも、人工関節を扱う手術では、クリーンルームで清潔な環境を整えて手術を行います。

クリーンルームで不潔部位の手術は行わない

手術での感染のリスクを防ぐためのクリーンルームですが、クリーンルームでは、不潔部位の手術は行わないので押さえておきましょう。

手術を行う際の部屋の選択時などに重要になるため、新人看護師は覚えておくことをオススメします。

整形外科の中でもデブリなどの手術がありますが、感染部位を処置するため不潔という扱いになります。

また、消化器外科の手術も便などを触り不潔になるため、クリーンルームでは行いません。

整形外科の勉強にオススメ

整形外科の手術は扱う器械も特殊なものが多く、インプラントも覚えなければなりません。

特に人工関節の手術では、インプラントの扱いが重要になります。

この参考書では、整形外科で行われる人工関節手術などの術式や流れが詳しく載っています。

写真で紹介されているので、新人ナースにオススメの1冊です。

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