橈骨遠位端骨折は、手首の骨の骨折になりますが、高齢者に多く見られる骨折の一つです。
橈骨遠位端骨折では、プレート固定による治療が行われることが多いです。
手術室によっては使用するプレートと器械は決まっているところもあります。
コンテンツ
橈骨遠位端骨折とは橈骨の骨折
橈骨遠位端骨折とは、橈骨の手首部分の骨が折れてしまうことです。
特に高齢者に多く見られる骨折の一つであり、骨粗鬆症などが原因で簡単に折れてしまいます。
骨折の理由としては、転倒したときに手をついた時や交通事故などで強い力が加わると起こります。
橈骨遠位端骨折で使用される主な器械
橈骨遠位端骨折で使用される主な器械は以下の通りです。
- ドリルガイド(大)
- ドリルガイド(小)
- ドリル
- ネジ付きドリルガイド
- デプスゲージ(コーテックススクリュー)
- デプスゲージ(ロッキングスクリュー)
- ドライバー
症例や使用する器械によって業者から借りることもあります。
術中体位は仰臥位で手台を使用
術中は、仰臥位で行いますが外科用の手台をベッドに取り付けて行います。
手術側の肩関節は90度の外転位をとり、イメージ下で整復操作を行いながら進めていきます。
手術側の上肢にはターニケットを巻いて準備をしておきましょう。
また、手術側にイメージが入るので、広めに場所を取っておくことが大切です。
橈骨遠位端骨折のプレート固定の流れ
橈骨遠位端骨折の主な流れは以下の通りになります。
- 皮切
- 展開
- 整復プレート挿入
- プレートをスクリューで固定
- 洗浄、閉創
- 術後X線撮影
これらが大まかな流れになりますが、詳しく見ていきましょう。
皮切
橈骨手根屈筋腱の橈骨縁に沿う約3〜5cmに皮切を行います
皮膚をメスで切開し、皮下から筋膜まで電気メスを使用して展開します。
橈骨動脈が露出されるが、周囲の軟部組織とともに筋鈎を使用して避けるため、筋鈎を準備しておきましょう。
展開
筋膜をメスで切開し、橈骨遠位掌側面を露出させます。
整復
骨折部位を直視下で確認し、整復操作を行います。
この時に、エレバトリウムや骨鉗子を使用することがあるので、準備しておきましょう。
プレート挿入
整復位を保持したままで、掌側用のプレートを橈骨遠位掌側面に骨折部位を跨ぐように当てます。
プレートには、ロングとノーマルの2種類があるので、確認して指示通りに出すようにしましょう。
プレートをスクリューで固定
プレートと橈骨近位側をスクリューで固定を行います。
近位側はコーテックススクリューを使用しますが、スクリューの径は指示通りに準備します。
近位側の固定が終わったら、橈骨骨片をロッキングスクリューで固定します。
最後に最近位のスクリューホールにもスクリューで固定を追加します。

洗浄、閉創
プレート固定が終わったら、創部の洗浄を行います。
創部の洗浄には、十分な生理食塩水とすぐに縫合に移れるよう、縫合糸の準備をしておきましょう。
術後X線撮影
閉創後に術後レントゲン撮影を行い、問題がなければ手術終了となります。
橈骨遠位端のポイント
橈骨遠位端のプレート固定では、コーテックススクリューとロッキングスクリューの2種類を使用するため、使用するスクリューの部位を覚えておくことが大切です。

また、それぞれのスクリューに使用するドリルは異なるため、部位に合わせた選択が必要になります。
使用したスクリューと挿入した部位は、しっかり把握しておくことがポイントです。
整形外科の手術に慣れるために
橈骨遠位端の骨折は高齢者に多く、手術室でも遭遇する機会は多いです。
特に手の手術では、手術部位の取り違えなどに注意する必要があります。
また、橈骨遠位端の手術で使用するインプラントにも左右が記載されたものもあるので、しっかり確認して手術に付くことが大切です。
橈骨遠位端などの手術では、使用する器械が決まっていることが多いので、準備の段階で使用する順番に並べておくとスムーズに進めることができます。
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整形外科では、スクリューに合わせたドライバーの選択や組み立てなどが必要になります。
また、同じ手術であってもインプラントの種類が違うことも。
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