術中体位のリスクアセスメントと観察項目について

手術中は患者さんの体位を固定して手術が行われますが、手術によっては長時間になってしまうため、褥瘡などの合併症を引き起こしてしまうこともあります。

手術室の看護師はオペ中の合併症が起こらないよう、術中の体位固定や褥瘡などに気をつけなければなりません。

褥瘡は高齢者に多く見られるイメージがありますが、実は若い人であっても手術による褥瘡が生じてしまうこともあるのです。

今回は、術中体位のリスクアセスメントと観察項目についてお伝えしていきます。

術中体位が褥瘡を引き起こす

手術中は患者さんは全身麻酔で眠っている状態であるため、手術が終わるまではずっと同じ体位をとっています。

同一体位を続けていることによって褥瘡などのスキントラブルが生じてしまいます。

褥瘡はなぜ出来てしまうのでしょうか?

褥瘡は、長時間体重で圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、血行不良になることによって引き起こされます

術中の褥瘡が術後に影響する

術中に褥瘡ができてしまった時は、術後の患者さんの経過にも影響することがあります。

術後は手術にもよりますが、2〜3日は臥床で過ごすことが多く、褥瘡が悪化してしまいやすいのです。

手術終了時には発赤程度の褥瘡だったものが、術後は悪化して褥瘡の治療も行わなければならないということもあるのです。

術前の褥瘡リスクアセスメントが大切

術中の褥瘡予防のために、手術室では体位固定を行う際は色々な工夫を行っていますが、褥瘡のリスクは患者さんによっても差があります

術前に褥瘡のリスクアセスメントを行い、しっかり褥瘡予防を行うことがオペナースが求められる看護ケアなのです。

褥瘡は骨の出た高齢者に起こりやすいと思い込みがちですが、実は若い人であっても条件によっては褥瘡ができてしまこともあります。

手術や麻酔に関する要因

手術を受ける患者さんの褥瘡リスクアセスメントを行う時は、実施する手術と患者さんの両方から考える必要があります。

手術や麻酔に関する要因
  • 手術内容
  • 手術時間
  • 手術体位
  • 出血量
  • 麻酔方法
  • 湿潤
  • 低体温

これらが手術や麻酔に関する要因ですが、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

手術内容

手術内容は患者さんによっても変わってきますが、外科の開腹手術や食道がんの手術など長時間かかってしまうことが予測される手術などは、褥瘡のリスクが高いです。

また、手術内容によっては特殊な体位をとることもあるので、術中体位も褥瘡と関係してくるのです。

術式による圧力やずれ、摩擦が生じる部位を予測することが必要です。

例えば、外科の開腹の手術であれば、仰臥位なので仙骨部や踵骨部などベッドに当たっている部分に褥瘡が生じやすいことが考えられます。

腹腔鏡の手術などではローテーションをかける手術もあるので、ローテーションによって耐圧がかかる部分が変わってきます。

そして、ずれが生じやすいため褥瘡のリスクも高くなってしまいます。

手術によってはアプローチ方法が異なることもあり、体位固定も変わってくるため、どのような体位固定を行うのかを術前訪問の時点で把握しておくことが大切です。

手術時間

手術時間は長くなればなるほど、褥瘡のリスクが高くなります。

1時間程度の手術であれば褥瘡のリスクは低いですが、それでも褥瘡になってしまう患者さんも。

特に長時間の手術になってしまう場合は、通常よりも褥瘡のリスクが高いためリスクアセスメントが大切になります。

基準としては、6時間以上の全身麻酔下の手術は褥瘡のハイリスクと言われています。

手術内容と合わせて、予定手術時間も必ず確認をしておきましょう。

また、どのような手術であってもトラブルなどによって手術時間が長くなってしまうこともあるので、手術時間は長めに考えておくことがベストです。

手術体位

手術体位は手術によって異なりますが、仰臥位以外の特殊な体位をとる手術の場合は、圧迫される部位も変わってくるので、体位ごとに褥瘡好発部位を把握しておきましょう。

特殊体位とは、腹臥位、側臥位、砕石位、座位などです。

手術中の体位が皮膚トラブルを引き起こす!術中体位と褥瘡予防について 側臥位は呼吸器系の影響に注意!体位固定のコツと観察ポイント

出血量

リスクの高い手術では、出血が多くなってしまうことが考えられます。

術中の出血が多くなってしまうと、循環不良が起こるため褥瘡が発生しやすくなります。

開腹手術や整形外科の手術では、出血が多くなることもあるため、術中出血も予測して褥瘡のリスクを考えましょう。

麻酔方法

麻酔方法も褥瘡に影響します。

麻酔方法には、全身麻酔や脊椎麻酔、局所麻酔などの種類がありますが、特に全身麻酔での手術の場合は、麻酔薬によって血圧低下などが原因で褥瘡が起こりやすくなります。

麻酔薬や術中の出血の影響によって血圧低下が生じたり、カテコールアミンを使用することにより末梢組織の虚血状態を引き起こしてしまいます。

湿潤

手術中の出血や浸出液、消毒液、発汗などによって皮膚が湿潤してしまい、ふやけを引き起こして、ずれや圧力に対しての抵抗力が低下してしまいます。

低体温

手術中は部屋の温度を下げて手術を行うという病院もありますが、低体温になることで褥瘡のリスクが高くなってしまいます。

手術中は、麻酔薬による体温調節機能の抑制や末梢血管の拡張、露出した皮膚や開腹した術やの体表からの熱放散、腹腔内洗浄や輸液温度の影響などによって低体温が起こりやすいのです。

中枢体温が低下すると組織の温度が下がってしまい、末梢組織の虚血状態を引き起こしてしまいます。

これらが手術や麻酔による要因ですが、術式や麻酔薬によっても褥瘡のリスクが高くなるのでしっかりアセスメントを行うことが必要です。

患者個別の要因

次に患者個別の要因について見ていきましょう。

患者個別の要因
  • 年齢
  • 検査値
  • 身長、体重、BMI
  • 関節可動域・麻痺
  • 循環動態が不安定
  • 皮膚の状態

年齢

年齢は患者さんの状況把握をする重要なポイントになりますが、特に高齢者は脊柱の彎曲や変形、骨の突出がある可能性が高いです。

そして高齢者の皮膚は脆弱であり、外界からの刺激や圧力によってダメージを受けやすいのです。

術前に発赤や乾燥、湿潤の有無など皮膚の状態を把握しておきましょう。

また、術前に褥瘡などが発生している場合もあるので、術中に悪化しないよう対策を取ることが必要です。

検査値

手術を受ける人の中には栄養状態が不良であり、疾患の影響などによって貧血傾向の患者さんもいます。

栄養状態が悪く貧血傾向の患者さんの場合は、褥瘡発生のリスクが高くなるため検査値もしっかり把握しておくことが大切です。

身長、体重、BMI

身長と体重、BMIですが、これは患者さんの体型を把握する情報です。

BMIが低ければ痩せ気味の体型であると推測でき、骨突出が考えられます。

BMIが高ければ肥満であり、体位固定をとった際に、皮膚同士の接触によりスキントラブルがおきてしまう可能性が考えられます。

体型に合わせた手術台の選択や体位固定を行う必要があります。

関節可動域・麻痺

体位固定を行う際は関節可動域に注意しながら体位を整えて行きますが、関節可動域を超えた体位固定は神経障害の原因になります。

全身麻酔中は、患者さんの意識がなく看護師が体位の固定を行うため、関節可動域を十分に把握して無理のない固定を行うことが必要です。

また、麻痺がある場合は関節が拘縮している可能性が高く、可動域も狭くなってしまっているため、術前に把握しておきましょう。

循環動態が不安定

循環動態が不安定な患者さんは、末梢組織の虚血が起こることが考えられるため褥瘡のリスクが高くなります。

循環動態が不安定という状態は、血圧が変動して安定していない状態や不整脈が見られたりする状態のことをさします。

皮膚の状態

全身の皮膚の乾燥や湿潤、浮腫は褥瘡の発生するリスクを高めてしまいます。

また、褥瘡の既往があれば再度褥瘡を起こしてしまう可能性があるため、その部位の把握と対策を取ることが必要です。

特に高齢者は皮膚の乾燥などが見られ脆弱化しているため、褥瘡が起こりやすいです。

これらが患者個別の要因によるアセスメントの観察項目になりますが、術前の情報から体位固定の合併症は予防することができます。

術中に起こる褥瘡を予防するために

手術中の患者さんは意識がないため、自分で寝返りを打ったりすることができません。

また、体位固定が痛くても訴えることができないため、手術中の安楽は看護師の手にかかっているのです。

手術室で起きてしまう体位固定のトラブルもありますが、事前にリスクアセスメントを行なっておくことで、予防することは可能なのです。

患者さんの安全と安楽のために術前からリスクアセスメントをしっかり行い、安全にオペができるようサポートしましょう。

術中体位のアセスメントの勉強にオススメ

手術中の褥瘡やスキントラブルを予防するためには、術前にしっかりアセスメントを行う事が大切になります。

褥瘡は術中の体位固定だけでなく、患者さんの個別の要因など様々なものがあります。

この参考書では、術中の体位固定や褥瘡の好発部位について詳しく紹介されています。

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