手術室で働いていると患者さんとの関わる機会が少ないので、患者さんとのコミュニケーションに「自信がない」という人も多いのではないでしょうか。
手術で患者さんとの関わりは一瞬なので、顔も覚えてもらえないことも多いです。
オペナースの大切な役割の一つである術前訪問ですが、慣れない間は何を話したら良いのだろうと思うことも。
術前訪問では、病棟の看護師ではなく手術室の看護師だからできる関わりもあります。
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術前訪問の目的は信頼関係を築くため
術前訪問は外回りの看護師が行いますが、病院によっては2年目から始まるという人もいるかもしれません。
早いところであれば、1年目の半年ごろや12月ごろから外回り業務を始めるところも。
術前訪問は手術室の看護師が、担当する患者さんの元に伺い話や説明を行うことです。
手術の前日や当日の朝に訪問を行うこともあります。
術前訪問を行う目的としてはいくつか挙げられます。
- 信頼関係を築き不安の緩和を図る
- 意思確認と治療への協力を得る
- 取り違えなどを防止するため
これらの目的によって術前訪問は行われます。
それぞれの目的に関してもう少し詳しくみていきましょう。
信頼関係を築き不安の緩和を図る
手術室で働いていると、病棟のように患者さんとのコミュニケーションをとる機会が少ないです。
外回り業務に当たらない日は、スタッフ以外との会話がないということも。
手術を受ける患者さんは、手術に対する不安を抱えており、環境の変化に対して敏感になっています。
手術を受けることを理解していても、突然見知らぬ手術室に入ると緊張してしまいますよね。
事前の関わりが安心へとつながる
手術当日に見知らぬ手術室に入り、緊張して恐怖を感じている中で治療への協力を得ることは難しいです。
術前に担当看護師が訪問をして説明を行うことで、不安の緩和に努めることができます。
事前に説明を受けていることで当日は安心して手術に臨むことができます。
また、手術室に入った時に、知っている人の顔があることで安心感にも繋がります。
術前訪問は少ない時間ですが、限られた時間で患者さんと信頼関係を築くことが、手術を安心して受けるためのポイントになります。
手術の意思確認と治療への協力を得る

手術や治療を受ける時には、患者さん本人やその家族に同意を得てから実施されます。
意思疎通ができない患者さんに関しては、家族が代理となりますが、意思疎通に問題がない患者さんは、本人の同意が尊重されます。
手術を受けることにあたって本当に同意をしているのか、などの確認を再度行います。
そして、手術室へ入室してから処置を行う場合などは、治療への協力が必要なため、説明を行い理解してもらい同意を得ます。
通常であれば手術前日までに、手術関連の書類に同意書が含まれサインがしてあるものを確認してから術前訪問に行きます。
患者誤認などの取り違えを防止する
手術室では手術の日程、時間、患者さんの氏名、年齢、カルテの内容は分かりますが、患者さんの顔は会うまでは分かりません。
違う患者さんが入室して名前も同じだった場合、本当に本人かどうかという判断に時間がかかってしまうことがあるのです。
手術部位にも左右などがあるため、右の予定だったが間違えて左の手術をしてしまった、というアクシデントも過去に起こっています。
そのような患者誤認や患者さんの取り違えを防止するためにも、術前訪問で実際に会って、顔を確認し、手術部位も確認を行うのです。
中にはコミュニケーションが難しく本人確認が困難な場合は、家族に協力をしてもらうこともあります。
効果的な術前訪問を行う3つのアドバイス
手術室ナースが効果的な術前訪問を行うための、3つのアドバイスを見て行きましょう。
事前の情報収集は必ず行う
術前訪問は自分の業務の合間に行くことが多いですが、担当手術で忙しく事前情報を取らずに行く人もいると思います。
術前訪問は、患者さんに手術室看護師から一方的な説明をするための機会ではありません。
業務で忙しく時間がないという状況も分かりますが、最低限の情報収集は必ず行ってから訪問するようにしましょう。
最低限押さえておきたい情報は以下の通りです。
- 名前、フリガナ、年齢、性別
- 手術予定日時
- 疾患名
- 予定手術名
- 同意書の有無
- 最新の検査結果(X-P、CT、心電図、肺活量)
- キーパーソン
- アレルギーの有無
- 既往歴、手術歴
- 感染症
- 禁忌薬の有無
余裕があれば看護記録をみて患者さんの様子なども把握しておくとベストです。
特に、既往歴と手術歴は当日に行われる手術に影響してくる部分なので重要な情報です。

患者さんから直接聞きたい情報
カルテから得られる情報も重要になりますが、患者さん本人に確認しておくことも手術をスムーズに進める上では大切です。
患者さん本人に聞いておきたい情報は以下の通りです。
- 既往歴、手術歴の有無
- 【手術歴】手術部位やその後の経過
- 【既往歴】治療方針と現在の状態
- 手術当日に家族がいつ来るか
- 手術に関して受けている説明内容
- 手術に関して不安に感じていること
- 手術当日に手術室への希望など
前回の手術の様子などを聞いておくことで、手術に対する考えなどを把握することができます。
前回の手術で怖いイメージがある人などは、不安に感じた部分をヒアリングして不安の緩和に努めましょう。
そして、手術を行う上で大切な情報としては、家族やキーパーソンがいつ来るのかという情報です。
安全に手術を進めるためには、家族や付き添いとすぐに連絡が取れる状況が必要なのです。
手術当日に手術室への希望というのは、不安や緊張から入室時に好きな音楽をかけてほしい、子どもであれば麻酔がかかるまで一緒に入室させてほしいなどの内容です。
手術室への要望があれば、聞いておくこともポイントです。
当日の流れに沿って説明を行う
新人ナースの中には、患者さんの元に行って何を話せば良いかわからない人もいるかもしれません。
術前訪問では、当日の流れをわかりやすく説明しましょう。
入室から麻酔導入までの流れは説明を聞いていても、実際に手術室に入室すると緊張から何をしたら良いのかわからない、と感じる患者さんが多いです。
当日は看護師がサポートをするということを伝えて、不安の緩和に努めます。
また、手術室ならではですが、患者さんが入室する手術当日は、スタッフはマスクに帽子を着用しているので、患者さんから見て誰かわからない状態です。
可能であれば、マスクと帽子を術前訪問に持参して、当日出迎える姿を見てもらうことも患者さんの安心につながります。
効果的な術前訪問を行うために
術前訪問は患者さんとの直接的な関わりになりますが、手術を受ける患者さんは不安を抱えています。
手術室で働く私たち看護師だからこそ、患者さんの不安を理解し寄り添うことが大切です。
術前訪問は患者さんと接する貴重な機会です。
患者さんの生の声は、自分自身を成長させてくれる経験になります。
術前訪問の勉強にオススメ
術前訪問は外回り看護師の大切な役割の一つです。
新人オペナースの中には、術前訪問のやり方などが分からない人もいると思います。
この参考書では、外回り看護師の仕事の一つである術前訪問について紹介されています。
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